差鯖

差鯖

さしさば

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意味・由来

「差鯖(さしさば)」とは、鯖を開いて内臓を取り除き、塩を振って保存性を高めた塩鯖、あるいは2尾の鯖の背を合わせて串を差して干したものを指す秋の季語です。冷蔵技術のなかった時代、若狭湾などで獲れた鯖に塩を施し、京都など内陸の消費地へ運ぶ「鯖街道」の荷として広く親しまれました。秋に脂がのって最も美味しくなる鯖の旨味を凝縮させた保存食であり、庶民の秋の食卓や旅情、商人たちの活気を象徴する風情豊かな季語です。

この季語で詠むコツ

「鯖」単体よりも保存食・加工品としての生活感や独特の匂い、旅の道中といった物語性が色濃く出ます。背を合わせて束ねられた姿の造形や、塩を吹いた肌の白さ、運ぶ人の息遣い、市場の活気や日暮れの街道風景などと取り合わせると、奥行きのある句になります。脂の乗った魚の旨味や塩気といった味覚・嗅覚に訴えかける描写も効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

・街道・峠・山路(鯖街道、鞍馬路、峠道など運搬の情景) ・大原女・商人・背負子(鯖を運ぶ人々やその姿) ・塩・筵・夕日・秋風(差鯖の置かれた風景や質感を描く言葉)

差鯖」の俳句例 (3件)

差鯖や大原女の背の落かかる
与謝蕪村【現代語訳】大原女が背負った荷から、塩漬けの差鯖が今にも滑り落ちそうになっている。 【鑑賞】京の町へ薪や魚を行商に来る大原女の荷の様子を、写実的かつユーモラスに切り取った蕪村の名句です。高く積み上げた荷の不安定さと、そこから覗く差鯖の存在感が生き生きとした風俗画のように描かれています。
差鯖にひとしほ通ふ夜明かな
炭太祇【現代語訳】夜通し運ばれてきた差鯖に、ちょうどよい塩加減が染み渡るころ、東の空が白々と明けてきた。 【鑑賞】若狭から京へと夜通し運ばれる鯖の「塩の回り具合」と、夜明けの時間の経過を美しく重ね合わせています。生活の息遣いと旅路の情景が見事に調和した味わい深い一句です。
差鯖に夕日のさすや魚屋の軒
正岡子規【現代語訳】魚屋の軒先に吊るされた差鯖に、秋の夕日が鮮やかに射し込んでいる。 【鑑賞】秋の日暮れの街角、魚屋の店先に吊るされた差鯖に西日が当たる一瞬の陰影を鮮明に捉えています。差鯖の脂の光沢や塩の白さが夕日に照らされる視覚的な美しさと、秋の暮れの物寂しさが漂います。

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