猿の腰掛

猿の腰掛

さるのこしかけ

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意味・由来\n「猿の腰掛(さるのこしかけ)」は、サルノコシカケ科などの多孔菌類(きのこ)の総称で、秋の季語です。梅や桜、ブナ、杉などの老木や枯れ木、倒木の幹に半円形の棚状(傘状)に自生します。木質のように非常に硬く、まるで小さな猿がちょこんと腰掛けるのにぴったりの形をしていることからこのユーモラスな名が付けられました。\n\n### この季語で詠むコツ\n猿の腰掛は、色鮮やかな秋の紅葉とは対照的に、鬱蒼とした深山や苔むした古木など、静寂や年月を感じさせる場所に似合います。単に形の珍しさを描写するだけでなく、それが生えている大樹の生命力や朽ちてゆく哀愁、森の湿り気や木漏れ日といった周囲の空間や時間の経過を意識して取り合わせると、奥行きのある句になります。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n- 自然・環境: 「古木」「倒木」「苔」「深山」「山霧」「木漏れ日」「しじま」\n- 時間・質感: 「幾年」「固き」「重なりて」「風雨」「朽ちゆく」\n- 動詞: 「抱く」「生ひ立つ」「耐ふる」「ならぶ」

猿の腰掛」の俳句例 (3件)

猿の腰掛木深き秋のひかりかな
前田普羅【現代語訳】樹木が鬱蒼と茂る森の奥深くに、猿の腰掛が生えており、そこに秋の澄んだ光が差し込んでいることよ。\n【鑑賞】鬱蒼とした樹林の暗がりと、硬い猿の腰掛の表面に鋭く射し込む秋の日差しとの明暗の対比が鮮烈で、山深い秋の厳かな気配を感じさせます。
猿の腰掛霧深き日のありにけり
詠み人知らず【現代語訳】老木に生えた猿の腰掛を見つめていると、山深いこの地で濃い霧に包まれて過ごした日々があったのだとしみじみ思われる。\n【鑑賞】しっとりと濡れた深山の情景と、何年もそこに固着して風雨や霧を耐え忍んできた菌類の生命感が、静かな感慨とともに描かれています。
猿の腰掛古木いよいよしづかなる
飯田龍太【現代語訳】猿の腰掛がついているその古木は、秋が深まるにつれますます静まり返っている。\n【鑑賞】年月を経て朽ちゆく古木と、その幹にどっしりと定着した猿の腰掛。自然の雄大さと秋の深まりゆく静寂が、無駄のない言葉で格調高く詠まれています。

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