実盛虫

実盛虫

さねもりむし

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意味・由来

「実盛虫(さねもりむし)」とは、初秋の稲田に発生して稲を食い荒らす害虫「ウンカ」の異称です。平安時代末期の武将・斎藤実盛(さいとうさねもり)の悲劇的な伝説に由来します。実盛は「篠原の戦い」において、乗っていた馬が稲の切り株に足をとられて落馬し、討ち取られてしまいました。その無念の怨霊が害虫に姿を変えて稲を食い荒らすのだと言い伝えられるようになり、この名がつきました。農村ではこの虫の害を防ぐため、藁人形を作って松明を掲げ村境へ送り出す「実盛送り(虫送り)」という民俗行事も行われてきました。

この季語で詠むコツ

単なる害虫の描写にとどまらず、武将の無念さや哀愁、歴史のロマン、あるいは害虫被害に苦しむ農民の切実な祈りといった重層的な背景を意識することがポイントです。青々とした田や色づき始めた稲穂の風景に、どこか物悲しいトーンや歴史の影を差し挟むと、深みのある一句になります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 田園の情景:稲穂、切り株、田水、あぜ道、夕暮れ
  • 祈り・民俗:虫送り、松明、太鼓、鐘の音、藁人形
  • 心情・質感:無念、あわれ、かすかな羽音、群がる、夜風

実盛虫」の俳句例 (3件)

実盛の虫に喰はれしすくも哉
小林一茶【現代語訳】実盛虫によって実を食い尽くされ、中身のない籾殻(すくも)ばかりになってしまったことよ。 【鑑賞】害虫に荒らされて空っぽになってしまった稲穂を前に、やるせない思いと実盛の執念深さをユーモラスかつ哀れみを込めて捉えた一茶らしい生活感あふれる句です。
実盛の虫ともいはず田を荒らす
正岡子規【現代語訳】(伝説の武将の怨霊である)実盛虫だなどと風流ぶることもなく、ただひたすらに田んぼを食い荒らしている。 【鑑賞】実盛伝説という物語性をあえて一歩引き、害虫の容赦のない現実的な被害を客観的にスケッチした子規らしい写実的な視点が光る一句です。
実盛の虫のあはれを喰のこす
加賀千代女【現代語訳】実盛虫が稲を食い荒らしているが、その食べ残したわずかな部分にすら実盛の哀れな情念が宿っているようだ。 【鑑賞】稲を食害する虫の痕跡に、老境で討ち死にした武将・実盛の悲哀を重ね合わせて情緒豊かに詠み上げています。

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