酒顔雁

酒顔雁

さかつらがん

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意味・由来\n「酒顔雁(さかつらがん)」は、カモ科の大型の水鳥で、秋に日本へ渡ってくる雁(がん)の一種です。名前の由来は、顔から頬にかけて赤みを帯びた淡い褐色をしており、まるで酒に酔って赤くなった顔(酒顔)のように見えることから来ています。ほかの雁類に比べて大柄で、首が長く、嘴(くちばし)の付け根が黒く隆起しているのが特徴です。秋の澄んだ空を群れで渡る姿や、北国の水辺・干潟に羽を休める姿に、深まりゆく秋の情趣や独特の愛嬌・哀愁が感じられる季語です。\n\n### この季語で詠むコツ\n「酒に酔った顔」というユニークでどこか人間味のある語感と、秋の渡り鳥としての「雁」が持つ寂寥感や旅愁のコントラストを意識するのがポイントです。夕暮れの光を受けてさらに赤みを増して見える様子や、月夜の水辺で静かに休む姿など、光や時間帯の情景と組み合わせると、この鳥の個性的な姿が鮮やかに立ち上がります。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n- 光・夕暮れ: 夕茜、夕日、落日、残光(鳥の顔の赤みと夕景の照り返しが響き合います)\n- 水辺の景: 干潟、浅瀬、洲崎、水脈、葦原(大型の雁が休む水辺の広がりを描けます)\n- 夜・旅愁: 有明月、月夜、旅寝、渡る(渡り鳥としての孤独感や季節の深まりを強調できます)

酒顔雁」の俳句例 (3件)

酒顔雁暮れて洲崎の灯となれり
水原秋桜子【現代語訳】日が暮れると、酒顔雁が群れ憩う洲崎のあたりに、ぽつりぽつりと明かりが灯った。【鑑賞】夕暮れの水辺に集う酒顔雁の静けさと、遠くの洲崎にともる人工の灯火の対比が美しい一句です。秋の夕暮れの寂寥感とともに、絵画的な色彩の調和が見事に表現されています。
酒顔雁低く飛ぶ日のさびしさよ
加藤楸邨【現代語訳】酒顔雁が低く空を飛んでいく今日は、なんと心にしみる寂しさだろうか。【鑑賞】高く天を渡る雁とは異なり、重たげに低空を飛ぶ酒顔雁の姿に、作者自身の孤独感や季節の寒々しさを重ね合わせています。簡潔な言葉の中に秋の深まりと深い情感が込められています。
酒顔雁嘴ぬくめゐる月夜かな
大石悦子【現代語訳】冷え冷えとした月夜、酒顔雁が羽毛の中に嘴を差し入れて温めていることだ。【鑑賞】冷え込む秋の夜、大型の鳥である酒顔雁が身体を丸め、嘴を温めて寒さをしのぐ愛らしい生態を克明に捉えています。静まり返った月光と鳥の温もりの対比が印象的な句です。

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