おく田

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意味・由来

「おく田(奥田)」とは、山奥や谷の奥深い場所にある田んぼのことです。平野部の広々とした水田とは異なり、山あいの狭い土地を切り拓いた棚田や谷戸田を指します。日当たりが限られ、冷たい山水を引き込んで耕作するため、稲の生育や収穫(稲刈り)も平地と比べて遅れがちになります。秋の深まりとともに、人里離れた静寂や冷気、そこに寄り添う山村の暮らしの侘しさと力強さを象徴する季語です。

この季語で詠むコツ

山深さや静けさ、秋の夕暮れの薄暗がりや冷気を意識して詠むのがポイントです。視覚的な「山の影」「夕日」「冷たい水」だけでなく、人里離れた場所だからこそ響く「稲を刈る鎌の音」「農夫の掛け声」「鳥の羽音」といった聴覚的な描写を取り入れると、奥田ならではの情景が鮮やかに立ち上がります。

相性のいい言葉・取り合わせ

・山や谷の景観を表す言葉(谷間、山路、暮色、山影) ・音に関する言葉(刈る音、山彦、水音、鳥の声) ・晩秋の光や大気を感じさせる言葉(夕日影、冷気、露、時雨)

おく田」の俳句例 (3件)

奥田刈る音や山路の夕気色
松尾芭蕉【現代語訳】山深い奥田で稲を刈るサクッサクッという音が響いてくる、山道の暮れゆく夕景であることよ。 【鑑賞】薄暗くなり始めた山路の静寂の中で、谷の奥にある田から聞こえてくる稲刈りの音に耳を澄ませています。視覚的な夕暮れの寂寥感と、鋭く響く刈る音が見事に対比された名句です。
奥田刈る鎌の光や夕日影
炭太祇【現代語訳】山奥の田で稲を刈る鎌が、傾いた夕日の光を受けてきらりと輝いている。 【鑑賞】山あいの田にわずかに差し込む西日と、稲を刈る鎌の刃の鋭い反射を一瞬の光景として捉えています。晩秋の山村の静けさの中に、農作業のひたむきな生命感が浮かび上がります。
奥田刈る日和となりぬ山の寺
黒柳召波【現代語訳】山奥の田の稲刈りをするのにちょうどよい好天となった、この山寺のあたりも。 【鑑賞】平地より遅れてやってくる奥田の刈り入れの季節。天候の変わりやすい山あいで、恵まれた晴れ間に対する人々の喜びと、山寺の澄み切った秋の風情が穏やかに表現されています。

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