後の村雨

後の村雨

のちのむらさめ

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意味・由来

「後の村雨(のちのむらさめ)」は、晩秋(旧暦九月)に降る激しいにわか雨を指す季語です。ひとかたまりになって激しく降り、さっと通り過ぎていく「村雨」に「後の」が付いたもので、旧暦九月十三日の「後の月(十三夜)」の頃に降る雨、あるいは初秋や仲秋を過ぎた晩秋の冷たい雨を意味します。急激な天候の変化と、雨が去った後に一段と深まる肌寒さが特徴で、秋が深まり冬へと移ろいゆく寂寥感や澄んだ空気感を象徴する季語として愛されてきました。

この季語で詠むコツ

激しく降って忽ち止む「動的な激しさ」と、雨上がりに残される「静寂や冷気」との対比を描き出すことが作句のコツです。雨そのものの降る勢いを描写するだけでなく、雨が去った後の濡れた落葉の風情、急に晴れ上がった夜空の月明かり、軒端から滴る雫、肌に感じる冷え込みなど、「通り過ぎた後」の情景や五感の余韻に視点を向けると、晩秋らしいしっとりとした情緒が際立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 天体・空:十三夜、後の月、星月夜、雲の切れ間、夕茜
  • 自然・植物:濡れ落ち葉、散紅葉、薄(すすき)、梢、枯野
  • 状態・情景:からりと晴る、軒雫、傘をすぼむ、冷気、足音

後の村雨」の俳句例 (3件)

後の村雨降るとも見えぬ木の葉かな
横井也有【現代語訳】晩秋のにわか雨が通り過ぎたが、地上に散る木の葉を見ても、本当に雨が降ったのか疑わしいほどわずかな痕跡しか残っていないことよ。【鑑賞】さっと降ってすぐに止んでしまった村雨の、一瞬の儚さを捉えています。木の葉に目を留め、かすかな雨濡れを探す繊細な視線によって、深まりゆく秋の静けさと移ろいやすさを見事に表現しています。
後の村雨月にぬれ行くから傘や
正岡子規【現代語訳】にわか雨が去ったあと、差している唐傘が雨ではなく澄んだ秋の月光に濡れるように照らされながら歩いていくことだ。【鑑賞】通り雨が止んだ夜道を歩く人物の風情ある姿を描いています。本来は雨に濡れるはずの傘が、雲の切れた空から射す清らかな月の光に照らし出される情景を「月にぬれ行く」と詩情豊かに見立てた名句です。
後の村雨からりと晴れて十三夜
正岡子規【現代語訳】晩秋の通り雨がさっと過ぎ去り、空はからりと晴れ上がって美しい十三夜の月が現れた。【鑑賞】激しく降った「後の村雨」と、その直後に澄み渡る夜空の対比が鮮やかな一句です。雨の冷たさと暗がりから一転し、清らかに輝く「十三夜」の光が際立ち、晩秋の凛とした大気が心地よく伝わってきます。

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