日本梨

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意味・由来 日本梨(和梨)は、古くから日本で親しまれてきた秋の代表的な果実です。弥生時代の遺跡からも種子が見つかるほど歴史が古く、『日本書紀』にも栽培の記録が残されています。みずみずしい果汁と、シャリシャリとした独特の石細胞の歯ざわりが特徴で、晩夏から中秋にかけて旬を迎えます。俳句において単に「梨」といえばこの日本梨を指し、爽快な水分と素朴な甘みが秋の訪れと乾いた大気に潤いをもたらす象徴として詠まれてきました。 ### この季語で詠むコツ 日本梨を詠む際は、その「みずみずしさ」「歯ごたえ」「皮の質感」など五感を意識するのがポイントです。果肉に刃を入れた瞬間に溢れ出る果汁の滴り、剥いた皮の匂い、噛んだときのシャリッという澄んだ音など、具体的な感覚に焦点を当てると臨場感が生まれます。また、梨は病床への見舞い果物としてもよく選ばれた歴史があり、正岡子規をはじめ病臥のなかで果汁に命のうるおいを見出すような心理描写とも深く結びつきます。生活感や秋晴の爽やかさと対比させるのも効果的です。 ### 相性のいい言葉・取り合わせ 「刃(やいば)」「ナイフ」「果汁」「小皿」「剥く」「手籠」「秋風」「夕暮」「見舞」「白」など、刃物による動作やしたたる果汁の質感を表す言葉と極めて相性が良いです。また、梨園の情景を描くなら「棚」「もぎ手」「籠」などの言葉と合わせることで、実りの秋の豊かな広がりを鮮やかに表現できます。

日本梨」の俳句例 (3件)

梨剥くや甘き雫の刃を垂る
正岡子規【現代語訳】梨を剥いていると、甘い果汁の雫が刃先からしたたり落ちてくることだ。【鑑賞】結核の病床で梨を好んで食べた子規による名句です。刃物に伝わる滴りの描写だけで、日本梨のみずみずしい生命感と濃厚な甘みが鮮やかに伝わってきます。
梨もぎの籠かたむけて選りゐたる
水原秋櫻子【現代語訳】梨をもぎ取る人たちが、収穫した籠を傾けて実を選別していることだ。【鑑賞】梨園での生き生きとした収穫風景を写生した句です。「籠かたむけて」という動的な描写によって、豊かに実った梨が次々と選り分けられていく秋の実りの活気が浮き彫りになっています。
梨むいて一重かさぬる小皿かな
松本たかし【現代語訳】剥いた梨の切り身を、小皿の上に美しく重ね並べていることだ。【鑑賞】梨を丁寧に剥き、透き通るような白い果肉を端正に盛り付ける日常の一コマを捉えています。清潔感と秋の静かな暮らしの落ち着きが感じられる一句です。

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