七墓参

七墓参

ななはかまいり

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意味・由来

「七墓参(ななはかまいり)」は、初秋の盂蘭盆(旧暦7月16日などの盆の夜)に、各地の七箇所の墓地を巡って無縁仏を供養して回る風習を指す季語です。特に江戸時代の大坂(現在の大阪市)で行われた「大坂七墓巡り」(梅田・南浜・葭原・蒲生・小橋・千日・飛田など諸説あり)が有名で、一晩のうちに七つの墓地を詣でると功徳があり、無病息災や念願が叶うと信じられていました。 信心から始まった行事ですが、真夏の夜の夕涼みや肝試し、若者たちの夜歩きという社交・娯楽の側面も持ち合わせており、提灯の明かりを頼りに大勢の人々が墓地を行き交う独特の賑わいと怪異が入り混じった情景が生まれました。

この季語で詠むコツ

七墓参は「死者への祈り」という厳かな宗教的側面と、「夜歩きの風情や怪しさ」という俗世的な情緒の二面性を持つ季語です。墓地の静けさや闇の深さを強調して幽玄に詠むのも良いですし、川風や露の冷たさといった晩夏の夜気、提灯の灯火、すれ違う人影などに焦点を当てて臨場感を出すのも効果的です。単なるおどろおどろしさにとどまらず、盆ならではの哀愁や人肌のぬくもりをどこかに忍ばせると、味わい深い句になります。

相性のいい言葉・取り合わせ

・提灯(ちょうちん)、蝋燭、火影、辻 ・下駄の音、草履、袂(たもと)、人声 ・夜風、川風、夜気、夜露、星明かり、宵の月

七墓参」の俳句例 (3件)

七墓や辻で草履のぬげやすき
大伴大江丸【現代語訳】七墓参りで暗い道を歩いていると、辻(交差点)にさしかかるたびに足元の草履が脱げそうになってしまうことだ。 【鑑賞】大坂の俳人である大江丸が、大坂名物の七墓参りを庶民の実感あふれる視線で捉えた一句です。暗闇の辻を提灯を提げて足早に巡る際、道の悪さや人の波に揉まれて草履が脱げそうになる様子がユーモラスかつ写実的に描かれており、当時の七墓参りの賑わいと生活感が生き生きと伝わってきます。
七墓や提灯細き川向ふ
正岡子規【現代語訳】七墓参りの夜、川向こうの暗がりを眺めると、墓参の人々の提灯の灯が細くかすかに揺れている。 【鑑賞】川を隔てた対岸の闇に、七墓を巡る人々のか細い提灯の列が点滅している光景を捉えています。水辺のひんやりとした秋の夜気と、夜の闇に浮かび上がる小さな明かりの対比が美しく、盆の行事らしい静けさと幽玄な趣を巧みに表現した名句です。
七墓やともしび遠く行くならひ
阿部みどり女【現代語訳】七墓参りの夜、墓地を巡る提灯の灯火が列をなし、はるか遠くの闇の中へと消えていくのがいつもの習わしであることよ。 【鑑賞】闇の彼方へと小さく連なって進んでいく人々の灯火を見つめ、毎年の盆に繰り返されてきた風習の伝統と哀歓をしみじみと詠み上げています。遠ざかる灯に死者への追悼と生きる者の祈りが重なり、どこか物悲しくも優しい情緒を醸し出しています。

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