中稲

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なかて

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意味・由来

「中稲(なかて)」とは、実る時期によって「早稲(わせ)」「中稲(なかて)」「晩稲(おくて)」と分けられる稲の品種のうち、中間に収穫される稲のことです。古くは『万葉集』などでも詠まれてきた歴史ある言葉です。八十八夜から数えて二百二十日(新暦9月下旬頃)前後に成熟し、秋晴れの穏やかな空の下で収穫を迎えます。早稲がもたらす収穫の慌ただしさが一段落し、本格的な実りの秋を味わう落ち着いた豊かさと安らぎが感じられる季語です。

この季語で詠むコツ

「中稲」を詠む際は、初秋の早稲のような「初物」の喜びやみずみずしさとは異なり、深まりゆく秋の気配や、野良仕事に打ち込む人々の日常の落ち着きを捉えるのがコツです。「中稲刈る」という動詞を伴う表現も多く、刈り取る際の心地よい音や、田んぼに漂う独特の藁の香り、傾きかけた秋の日差しなどを五感を通して描くと、風情豊かな情景が立ち上がります。

相性のいい言葉・取り合わせ

・天候・光景:「日和(ひより)」「薄日」「秋日」「夕暮れ」「遠山」 ・生活・寺社:「鎌」「寺」「障子」「煙」「畦道」 ・音・匂い:「音」「ひびき」「香」「風」

中稲」の俳句例 (3件)

中稲刈る音の静けき日和かな
正岡子規【現代語訳】中稲を刈り取るサクサクという音が静かに響きわたる、実に穏やかで心地よい秋晴れの日であることよ。 【鑑賞】澄み渡る秋晴れのなか、田んぼから聞こえてくる稲刈りの音の静けさに焦点を当てた一句です。騒がしさのない、のどかで満ち足りた農村の秋の一日が、聴覚を通じて鮮やかに描き出されています。
中稲刈る寺の障子の白さかな
夏目漱石【現代語訳】外の田では中稲を刈っている。その豊かな黄金色の野を背景にして、古寺の障子の白さがひときわ際立って見えている。 【鑑賞】中稲の実る田園風景と、近くにある寺の張り替えられたばかりの障子の「白さ」の対比が鮮やかです。外の収穫の営みと、寺の静寂が見事なコントラストを描き、清楚な秋の情緒を感じさせます。
中稲刈る音の絶え間や遠がらす
河東碧梧桐【現代語訳】中稲を刈る作業の音がふと途切れた合間に、はるか遠くで鳴く烏の声が聞こえてくる。 【鑑賞】作業音が止んだ一瞬の静寂によって、広々とした秋の野原の空間の広がりと遠近感が際立っています。「遠がらす」の声が、夕暮れが近づく田園の寂寥感と深まる秋の気配を静かに伝えています。

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