長崎忌

長崎忌

ながさきき

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意味・由来

「長崎忌(ながさきき)」は、1945年(昭和20年)8月9日、長崎市に原子爆弾が投下された日を心に刻み、犠牲者を追悼する初秋(8月)の季語です。「原爆忌」や「広島忌(8月6日)」と同様に、戦争の悲惨さと平和への誓いを新たにする日として歳時記に収められています。坂の街・長崎特有のキリスト教信仰の歴史や、浦上天主堂の鐘(アンジェラスの鐘)の響きなど、祈りと鎮魂の情念が深く結びついているのが特徴です。

この季語で詠むコツ

長崎忌を詠む際は、単に惨劇への怒りや悲しみを直情的に言葉にするのではなく、静けさや日常の佇まいを通して胸の内の思いを表現するのがコツです。たとえば「鐘の音」「坂道」「水」「光」「空の青さ」といった情景を具体的に切り取ることで、静謐な祈りの感情を際立たせることができます。また、8月9日という真夏の強烈な日差しと、深い哀悼の陰影との対比を意識すると、季語の重みが引き立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・地理・歴史の言葉:浦上、天主堂、坂、鐘、祈り、マリア ・自然・感覚の言葉:青空、真清水、白百合、日盛、静寂、海 ・動作・状態の言葉:手を合わす、跪く、仰ぐ、瞑目、水を乞ふ

長崎忌」の俳句例 (3件)

長崎忌祈りて指の白かりし
鷹羽狩行【現代語訳】長崎原爆忌の今日、一心に祈りを捧げているその人の指先が、痛々しいほど白く澄んで見えたことだ。 【鑑賞】平和を願い、犠牲者を悼んで手を合わせる人物の「指の白さ」に焦点を絞った一句です。激しい言葉を使わずに、指先に込められた祈りの純粋さと切実さを描くことで、長崎忌の静かで深い鎮魂の念を鮮やかに伝えています。
長崎忌水乞ふ声の今もなほ
有馬朗人【現代語訳】長崎忌を迎えた今もなお、原爆の炎の中で水を求めて倒れていった人々の声が、耳の奥に聞こえてくるようだ。 【鑑賞】被爆直後、喉の渇きに苦しみ「水をください」と叫びながら命を落としていった犠牲者たちへの痛烈な追悼句です。戦後どれほどの年月が過ぎようとも、その無念の声は消え去ることはないという、作者の強い歴史意識と鎮魂の思いが胸に迫ります。
長崎忌祈りの坂をくだりけり
皆川盤水【現代語訳】長崎忌の今日、祈りを捧げ終えたあと、長崎の急な坂道をひとり下っていった。 【鑑賞】坂の街・長崎の風土を生かした作品です。慰霊の祈りを終えた後の静まり返った心持ちと、坂を下る歩みのリズムが重なり合っています。「祈りの坂」という表現が、長崎という街全体が抱える祈りの深さを象徴しています。

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