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皆川盤水

みながわばんすい

作風・特徴

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代表句 (9件)

芋煮会石を拾ひて竈とし
季語: 芋煮会 (autumn)
【現代語訳】芋煮会をするために、河原の石を拾い集めて竈を作っている。【鑑賞】鍋をかけるための竈を一から手作りする準備のひとこまを描いています。これから始まる宴への期待感と野趣あふれる雰囲気が生き生きと表現されています。
沼太郎吹くや鳥屋舟もどり来ず
季語: 沼太郎 (autumn)
【現代語訳】沼太郎の突風が激しく吹き荒れているが、水鳥猟に出た鳥屋舟がまだ戻ってこない。【鑑賞】「鳥屋舟(とやぶね)」とは、湖沼で鴨などの水鳥猟をするための小舟のことです。突如として荒れ狂う「沼太郎」の恐ろしさと、荒波の中に取り残されているであろう舟を案じる張り詰めた緊迫感が伝わってきます。自然の猛威と向き合いながら生きる水辺の人々の厳しさが写実的に切り取られています。
ねぶた貼る糊のにほひに夜を更かし
季語: ねぶた貼る (autumn)
【現代語訳】ねぶたに和紙を貼り重ねる糊の匂いが濃く漂う中で、熱中して夜を更かしてしまった。【鑑賞】制作小屋に立ち込める糊の匂いという嗅覚の描写が、本番を直前に控えた現場の焦燥と高揚を鮮明に浮かび上がらせています。祭りに情熱を注ぎ、時間を忘れて作業に打ち込む人々のひたむきな熱気が静かに響く秀句です。
玉水木谷の青空押しひろげ
季語: 玉水木 (autumn)
【現代語訳】玉水木のびっしりとついた赤い実が、谷間に広がる青空をさらに押し広げるかのように鮮やかに映えている。 【鑑賞】深い谷あいで見上げた玉水木のダイナミックな姿を捉えた一句です。秋の澄みきった青空と、枝いっぱいに広がる鮮烈な赤の実とのコントラストが美しく、自然の力強さと晩秋の爽快感が見事に表現されています。
中国盆爆竹の音山へ反る
季語: 中国盆 (autumn)
【現代語訳】中国盆の境内で炸裂する爆竹の激しい音が、長崎のすり鉢状の山肌にこだまして跳ね返ってくる。 【鑑賞】坂と山に囲まれた長崎の地形を巧みに捉えた一句です。唐寺の境内で鳴らされる爆竹の爆音は、狭い谷間から背後の山へと反響し、街全体へと広がっていきます。音の広がりと空間の奥行きを鮮明に描き出しており、長崎という土地ならではの中国盆の迫力が伝わります。
巴草黄をつくしたる野分かな
季語: 巴草 (autumn)
【現代語訳】巴草がこれ以上ないほど鮮やかな黄色を極めて咲いている、その上を野分(台風の強い風)が吹き抜けていく。\n【鑑賞】暴風雨が近づく野分空の下、一際あざやかに黄金色の光を放つ巴草の力強さを詠んでいます。ねじれた花弁が荒々しい風に対峙して黄色をきらめかせる姿に、秋の深まりと自然の厳しさが凝縮されています。
長崎忌祈りの坂をくだりけり
季語: 長崎忌 (autumn)
【現代語訳】長崎忌の今日、祈りを捧げ終えたあと、長崎の急な坂道をひとり下っていった。 【鑑賞】坂の街・長崎の風土を生かした作品です。慰霊の祈りを終えた後の静まり返った心持ちと、坂を下る歩みのリズムが重なり合っています。「祈りの坂」という表現が、長崎という街全体が抱える祈りの深さを象徴しています。
投松明宙に散りつつ闇深し
季語: 投松明 (autumn)
【現代語訳】放たれた松明が空中で火の粉を散らしながら消えていき、そのあとの闇はいっそう深く感じられる。 【鑑賞】火の華やかさそのものよりも、火が飛び散ることでかえって際立つ夜空の闇の深さに着目した句です。一瞬の激しい炎の輝きと、それを取り巻く悠久の闇の静寂という対比が、秋の夜の厳粛な趣を深く醸し出しています。
奉教諸死者祭ともしびの列動きそむ
季語: 奉教諸死者祭 (autumn)
【現代語訳】奉教諸死者祭の夕暮れ、祈りのために手にした蝋燭の灯火の行列が静かに動き始めた。【鑑賞】「奉教諸死者祭」という格調高い季語を上五に据え、夜気配の迫る墓地や教会で灯された火の行列を描き出しています。死者の魂の安息を願う人々の静かな足音と、闇の中で揺れる温かな火の対比が、深い崇高さを醸し出しています。