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「無月(むげつ)」とは、陰暦八月十五夜の中秋の名月の晩に、空が一面の雲に覆われて名月が見えないことを指す季語です。雨が降って月が隠れることは「雨月(うげつ)」と呼びますが、雨は降らず雲に閉ざされている状態を無月と言います。待ち望んでいた満月が見えない落胆がありながらも、古来の人々は「雲の向こうには確かに輝く満月がある」とその姿を心に思い描きました。見えないものを心で愛でるという、日本独特の繊細な風流と情緒が込められた言葉です。
単に「月が見えなくて残念だ」という感情を詠むだけでは、句が平板になってしまいます。月が見えないからこそ際立つ周囲の情景に目を向けましょう。例えば、厚い雲を透かして夜空のどこかがほんのり明るい「底明かり」の様子や、月が見えない静けさの中で際立つ虫の声、秋風の気配、あるいは部屋の中で過ごす人の仕草などを切り取ると、無月ならではの深い情感が生まれます。
・雲、白雲、底明かり(空の様子を表す言葉) ・灯火、窓、机、茶(室内の静かな佇まいを表す言葉) ・虫の音、秋風、夜気(秋の気配を五感で捉える言葉) ・月見団子、酒(見えぬ月を想いながら過ごす風情)
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