俳句びとは、季語から一句を詠んで共有できる無料の俳句SNSです。気になる季語を選んで、一句詠んでみましょう。
正岡子規や高浜虚子などの名句(出典つき)とともに、9月を代表する季語を紹介します。
ゆうづき
夕月のやゝふくれけり七八日
意味・由来 「夕月」とは、夕方の空に早くも姿を現した月のことです。俳句の世界において単に「月」といえば澄み渡る秋の満月を指すのと同様に、「夕月」も秋の夕暮れの風情を象徴する秋の季語として愛されてきました。まだ日没前後の明るさや夕焼けが残る空に、淡く白や銀色に浮かび上がる月は、夜の闇に冴えわたる月とは
めいげつ
名月や叩かば散らん萩の門
意味・由来 陰暦八月十五夜(中秋)の月のこと。一年で最も美しく澄み切った月として、古くから観月の宴が催されてきました。俳句で単に「月」といえば秋の月を指しますが、「名月」は特に十五夜の月を讃える特別な季語です。 この季語で詠むコツ 名月はその美しさと存在感が圧倒的であるため、月そのものを描写するより
あきかぜ・しゅうふう
秋風や伊豫へ流るゝ汐の音
意味・由来 「秋風(あきかぜ・しゅうふう)」は、立秋を過ぎてから吹く秋の風全般を指す季語です。夏の厳しい暑さを忘れさせる心地よい涼風から、深まる季節とともに肌寒く、どこか寂しさを漂わせる風まで、秋の風情を幅広く表現します。古代中国の五行思想において秋は「金」や「白」に配されることから、「金風(きんぷ
ひややか
冷やかや返事が来ねばそれまでと
意味・由来 「冷やか(ひややか)」は仲秋(秋の半ば、現在の9月頃)の季語です。夏の厳しい暑さがようやく峠を越え、朝夕や日陰などでふと肌に触れる冷涼な気配を指します。晩秋や冬の身を縮めるような「寒し」とは異なり、暑さから解放された心地よさや、大気が澄み渡っていく清々しさが根底にあります。時候の季語であ
つきみ
いろ/\の灯ともす舟の月見哉
意味・由来 「月見」は、旧暦八月十五夜の「中秋の名月」や、九月十三夜の月を愛でる日本の伝統的な風習です。平安時代に貴族たちが舟遊びをしながら詩歌を詠み合ったり、杯に月を浮かべて宴を楽しんだりしたのが始まりとされています。江戸時代になると庶民の間にも広まり、美しい月を鑑賞する風流な行事としてだけでなく
ぎんなん
ぬす人の住まうたといふ銀杏哉
意味・由来 「銀杏(ぎんなん)」は、イチョウ科の落葉高木であるイチョウの種子(実)を指す仲秋から晩秋の季語です。なお、「公孫樹(いちょう)」そのものや「黄落(こうらく)」は樹木や葉の散る様子を表す季語ですが、「銀杏(ぎんなん)」と呼ぶときは主にその「実」を指します。黄金色に熟して木から落ちた実は独特
つゆけし
ひよろ〳〵と尙露けしや女郞花
意味・由来 「露けし(つゆけし)」は、秋の野山や庭先などに露が多く降りて、あたり一面がしっとりと湿り気を帯びている情景を表す季語です。古来、和歌の伝統において「露」は涙の比喩としても多用されてきたため、単に物理的に露で濡れている様子だけでなく、「涙がちである」「どことなく哀愁が漂っている」という人の
あかとんぼ
砂濱にとまるものなし赤蜻蛉
意味・由来 「赤蜻蛉(あかとんぼ)」は、秋の訪れを代表する三秋の季語です。主にアキアカネやナツアカネなど、秋になると鮮やかな赤色に色づくトンボの総称です。夏の間は涼しい高山で過ごし、秋風が吹く頃に平地へと群れをなして下りてきます。夕暮れの空を背景に無数に飛び交う姿や、日だまりの竿の先などに静かにとま
つきよ
横窓は嵯峨の月夜や蟲の聲
意味・由来 俳句において単に「月」といえば秋の月を指すのと同様に、「月夜(つきよ・つくよ)」も原則として秋の季語となります。秋は大気が澄み渡り、月光が一際明るく清らかに地上を照らすため、古来より月夜といえば秋の夜を格別のものとして愛でてきました。単に月が出ている夜という事実にとどまらず、冴えわたる光
とうがらし
頓入や納屋をあくれば唐辛子
意味・由来 唐辛子は中南米原産の一年草(熱帯では多年草)で、日本には16世紀半ばに南蛮船によってもたらされたと伝えられています。夏に白い小さな花を咲かせた後、秋になると果実が熟して緑から鮮烈な赤色へと変わります。俳句で単に「唐辛子」という場合は、秋に赤く実った果実を指します。収穫された唐辛子が軒下に
あきのくも
頭上の岩をめぐるや秋の雲
意味・由来 「秋の雲」とは、文字通り秋の空に浮かぶさまざまな雲の総称です。夏の力強く湧き上がる積乱雲(入道雲)とは対照的に、秋になると空が高く澄み渡り、巻雲や巻積雲のような薄く刷毛で掃いたような雲、いわゆる「鰯雲(いわしぐも)」や「鱗雲(うろこぐも)」などが多く見られます。空の透明感とともに、どこか
あきぞら
目にて書く大いなる文字秋の空
意味・由来 「秋空(あきぞら)」は、文字通り秋の空を指す三秋の季語です。夏の湿り気を帯びた空とは異なり、大陸からの乾燥した高気圧に覆われることで、大気中の水蒸気や塵が少なくなり、どこまでも澄み渡った高い青空が広がります。「秋高し」「天高し」とも通じる広大さや清々しさがある一方で、どこか寂寥感や物悲し