紅葉の帳
autumn 植物

紅葉の帳

もみじのとばり

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意味・由来

「紅葉の帳(もみじのとばり)」とは、秋になり美しく色づいた山々や庭園の木々が、まるで「帳(室内を仕切ったり外からの視線を遮ったりするためのカーテンや垂れ幕)」のように、隙間なく一面に広がっている様子を表現した優美な季語です。「帳」という言葉には、単に広がるだけでなく、ある空間を優しく包み込み、世俗から隔てるというニュアンスが含まれています。錦織りなす紅葉が幾重にも重なり合い、その奥にある景色を隠すような、あるいはその場所を特別な聖域のように見せる、そんな奥行きのある情景を表します。

この季語で詠むコツ

この季語を使う際には、ただ「紅葉が美しい」と描写するだけでなく、「帳」という言葉が持つ「包み込む」「隔てる」「隠す」といった空間的な機能を意識することが大切です。紅葉のカーテンの向こう側にあるもの(例えば、ひっそりと佇む庵、古いお寺の門、あるいはかすかに聞こえる水の音など)を暗示したり、光や風がその「帳」を通り抜ける瞬間の美しさを捉えたりすると、より立体的で叙情豊かな句になります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 空間を暗示する言葉: 「庵(いおり)」「門(もん)」「小径(こみち)」
  • 自然の要素: 「木漏れ日(こもれび)」「風の音(かぜのおと)」「せせらぎ」
  • 動作・状態: 「隠るる(かくるる)」「洩るる(もるる)」「潜る(くぐる)」

紅葉の帳」の俳句例 (3件)

美しき紅葉の帳や風の音
正岡子規【現代語訳】美しく色づいた紅葉がまるで垂れ幕のように一面に広がっており、そこを通り抜ける風の音だけが静かに響いている。【鑑賞】紅葉を「帳」と見立てることで、視覚的な色彩の豊かさと、そのなかに包まれた静寂の空間を鮮やかに表現しています。風の音という聴覚的要素が、より一層その場の静けさと美しさを引き立てています。
紅葉の帳に隠るる庵かな
正岡子規【現代語訳】美しく色づいた紅葉の垂れ幕の奥に、ひっそりと隠れるようにして庵がたたずんでいることよ。【鑑賞】「帳」という言葉の通り、紅葉が世俗から庵を優しく隠し、守っているかのような隠遁の風情を感じさせます。深まる秋の山中の、静かで神秘的な光景が目の前に浮かぶような名句です。
紅葉の帳を洩るる日差しかな
飯田蛇笏【現代語訳】幾重にも重なる紅葉の垂れ幕の隙間から、きらきらと秋の柔らかな日差しが漏れ聞こえるように差し込んでいる。【鑑賞】「帳」という言葉が持つ「光を遮る」という性質を逆手に取り、そこから漏れ出る光に焦点を当てています。鮮やかな赤や黄色の葉と、そこに差し込む黄金色の光のコントラストが見事です。

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