凶年
autumn 時候

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きょうねん

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意味・由来 「凶年(きょうねん)」とは、天候不順や害虫被害などによって作物が実らず、凶作となった年を指す晩秋の季語です。古来、農耕社会において作物の不作は人々の生命や生活を直接脅かす極めて深刻な事態でした。そのため「凶年」という言葉には、村全体を包む重苦しい空気や悲壮感、そしてこれから訪れる厳しい冬に対する深い不安が色濃く込められています。現代の俳句においても、自然の脅威や人間の無力さ、社会の厳しい現実を象徴する力強い季語として詠み継がれています。 ### この季語で詠むコツ 「凶年」は言葉自体が持つ社会的・精神的な重みが非常に強いため、感情をそのまま詠み込むと過度に重苦しくなったり、説明的になったりしがちです。コツとしては、あえて感情を抑え、冷徹なまでに客観的な視点で静かな風景を切り取ることです。例えば、誰もいない田畑、傾く夕日、荒れた野山など、具体的な一瞬の情景を描写することで、言葉の奥にある寂寥感や現実の厳しさを静かに浮かび上がらせることができます。 ### 相性のいい言葉・取り合わせ - 光や影の描写(夕日、陰、薄日、斜陽) - 寂しさを際立たせる風景(山裾、案山子、鳥渡る、枯野) - 静寂や冷気を感じさせる語(静か、風、寒し、深む)

凶年」の俳句例 (3件)

凶年の案山子も立つて居ざりけり
正岡子規【現代語訳】凶作の年であるため、田んぼには雀を追い払うための案山子さえ立っていないことだ。【鑑賞】作物が実っていないため鳥を追い払う必要すらなく、放置された田の惨状を「案山子も立っていない」という事実に託して静かに詠んでいます。農村の荒廃と深い寂寥感が過不足なく表現された名句です。
凶年の蝗の飛べる日向かな
高浜虚子【現代語訳】凶作の年、陽光が差し込む場所にバッタ(イナゴ)が群れ飛んでいることだ。【鑑賞】作物を食い荒らす害虫であるイナゴが、のどかな秋の日の光の中で無心に飛び交う様子を描いています。自然の冷酷な営みと人間の無力さが、淡々とした叙景の中に強く感じられます。
凶年の山に日の入る寒さかな
前田普羅【現代語訳】凶作の年に、山へと日が落ちていく寒々しさであることよ。【鑑賞】不作に苦しむ人々の暗い情勢と、秋の深まりとともに冷え込む山端の夕暮れが重なり合っています。厳しく冷酷な自然の冷気と、生活の厳しさからくる心の寒寒しさが身にしみる一句です。

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