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意味・由来

葛(くず)は、マメ科の多年草で、秋の七草の一つに数えられます。生命力が非常に強く、秋になると山野を覆い尽くすように旺盛につるを伸ばし、紫紅色の甘い香りのする花を咲かせます。古くから根は「葛粉」や漢方薬の「葛根」として重宝され、日本人の暮らしに密着してきました。また、風に吹かれて葉がひるがえると裏側の白い面が目立つことから、古典文学では「裏見(うらみ)」と「恨み」を掛け合わせ、哀愁や情念を象徴する植物としても好んで詠まれました。

この季語で詠むコツ

葛を詠む際は、その旺盛な生命力や、風による「動き」に着目するのがポイントです。特に風に翻る葉の表(緑)と裏(白)のコントラストや、うっそうとした茂みの中に隠れるように咲く花の色香を捉えると、立体的な描写になります。また、つるが周囲を侵食していく圧倒的な自然の強さを描くのも効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 風や気象を表す言葉(嵐、野分、山風、夕暮れ、雨)
  • 色彩や対比に関する言葉(白、裏葉、深緑、紫)
  • 場所を想起させる言葉(山路、古道、崖、廃屋、堤防)

」の俳句例 (3件)

葛の葉のうらみ顔なる嵐かな
松尾芭蕉【現代語訳】激しい嵐が吹き荒れて、葛の葉がひるがえり、まるで人を恨んでいるかのような白い裏葉を見せていることよ。【鑑賞】芭蕉初期の機知に富んだ一句です。葛の葉が風で裏返る「裏見(うらみ)」に、人間の「恨み」を重ね合わせ、嵐の中で白くざわめく葛の葉の不気味さと美しさをダイナミックに表現しています。
葛の花踏みしだかれて色あたらし
飯田蛇笏【現代語訳】山道を行く人や獣に踏みにじられた葛の花が、ちぎれて散っているが、その紫紅色の色彩はかえって瑞々しく鮮やかである。【鑑賞】生命力あふれる葛の花が、踏みつけられてもなお失われない野生の色彩を放つ様子を捉えています。「色あたらし」という表現に、自然のたくましさと美に対する新鮮な驚きが込められています。
葛の葉のうらみ見せたる夜寒かな
与謝蕪村【現代語訳】秋の夜の寒さがしんしんと身に染みる中、風に揺れる葛の葉がその白い裏を見せて、恨みがましい表情を漂わせていることだ。【鑑賞】先人の芭蕉の句を意識しつつ、蕪村らしい情緒的な美意識でまとめられた一句です。冷え冷えとした夜の空気(夜寒)と、白く翻る葛の葉の「裏(うらみ)」が、妖艶で寂寥感のある静かなドラマを生み出しています。

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