草市
autumn 植物

草市

くさいち

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意味・由来

「草市(くさいち)」は、お盆を迎える準備のために、旧暦7月12日(現在では8月12日や7月12日など)の夕方から夜にかけて開かれる臨時の市のことです。「盆市(ぼんいち)」とも呼ばれます。お盆の精霊棚(盆棚)を飾るための真菰(まこも)の筵、麻殻(おがら)、蓮の葉、ほおずき、ミソハギや菊などの秋の花々が並べられます。一年に一度、先祖の霊を迎えるための市であり、生活感と宗教的な敬虔さ、そして祭り特有の賑わいが入り混じった初秋の情緒ある季語です。

この季語で詠むコツ

夜店の提灯の明かりや人々の行き交うざわめきといった「活気」を描く一方で、迎えるお盆の静けさや、故人を思う「哀愁」を対比させると深みが生まれます。また、蓮の葉のみずみずしい緑、ほおずきの朱色、麻殻の白さといった、草市ならではの具体的な品物の色彩や質感に焦点を当てると、情景が鮮やかに立ち上がります。

相性のいい言葉・取り合わせ

・視覚:提灯(ともしび)、蓮の葉、ほおずき、麻殻、露草、下駄 ・時間・天候:夕暮れ、宵闇、夜風、小雨、通り雨 ・心情・情景:人波、帰り道、賑わひ、そぞろ歩き、買い足す

草市」の俳句例 (3件)

草市や買ひ残したる蓮の葉に
芥川龍之介【現代語訳】草市の賑わいが引いた後、買い手がつかずに残された蓮の葉の上に、ふと目が留まる。【鑑賞】賑やかな市の中で取り残された蓮の葉の瑞々しさと静けさを描いています。宵の賑わいの後の寂寥感と、亡き魂を迎える盆の情感が美しく響き合っています。
草市の灯ともし頃や雨上り
正岡子規【現代語訳】草市に明かりが灯され始める夕暮れ時、ちょうど心地よく雨が上がった。【鑑賞】夕立ちが上がり、しっとりと濡れた地面に提灯の灯が映える情景が目に浮かびます。これから本格的に賑わう盆市の高揚感と、雨上がりの澄んだ空気が美しく調和しています。
草市や仏の花に紅少し
高浜虚子【現代語訳】草市に並ぶ仏前用の供花の中に、わずかに紅色の花が混じっている。【鑑賞】お盆のお供え用の落ち着いた草花の中に、ぽつんと差すわずかな紅色を見逃さない写生句です。清らかで厳かな雰囲気の中に漂う、草市のささやかな華やぎを捉えています。

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