暮の秋
autumn 時候

暮の秋

くれのあき

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意味・由来

「暮の秋(くれのあき)」とは、一日の夕暮れ時を指す「秋の暮(あきのくれ)」とは異なり、「秋という季節全体の終わり(晩秋)」を意味する言葉です。陰暦の九月(現在の十月下旬から十一月上旬頃)にあたり、暦の上ではまもなく冬を迎えようとする時期を指します。生命の躍動が静まり、冷たい風が吹き抜ける中で、どこか寂しくも美しい、深まりきった秋の情緒を表す言葉として古くから多くの歌人や俳人に愛されてきました。

この季語で詠むコツ

「暮の秋」を詠む際は、単なる「夕方の景色」ではなく「移りゆく季節の寂しさや哀愁」を表現することが大切です。冬の訪れを予感させる肌寒さや、木々の葉が落ち尽くしていく様子、あるいは去りゆく季節を惜しむ人間の心模様(惜秋の念)に焦点を当ててみましょう。時間の経過や、物事の終焉を感じさせるディテールを描写すると効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

秋の終わりを強調するために、静寂や寒さ、孤独感を連想させる言葉がよく合います。

  • 動作・状態:「静まる」「消えゆく」「冷める」「一人」「残る」
  • 自然物:「枯れ葉」「遠山」「冷たい雨」「風の音」「ともしび」
  • 心情:「哀し」「惜しむ」「なつかし」「寂しさ」

暮の秋」の俳句例 (3件)

今日のみの命ともがな暮の秋
与謝蕪村【現代語訳】この美しい秋の終わりにあたって、私の命も今日限りであってほしいものだ。 【鑑賞】深く静まり返った秋の終わりの美しさに、蕪村が完全に魅了されている様子を描いた句です。生の執着から解き放たれ、自然の美と一体化して消えてしまいたいという、極限の芸術的境地が表現されています。
淋しさにまた飯を食う暮の秋
夏目漱石【現代語訳】秋の終わりがもたらす言いようのない寂しさに耐えかねて、お腹も空いていないのにまたご飯を食べてしまうことだ。 【鑑賞】文豪・漱石ならではの、ユーモアと哀愁が入り混じった日常の一コマです。「暮の秋」という大きな季節の寂寥感に対して、「飯を食う」という極めて俗っぽく人間味のある行為を取り合わせた、妙味溢れる名作です。
をりとりてはらりとおちぬ暮の秋
高浜虚子【現代語訳】(枝に残った花や実を)折り取ったところ、その瞬間にハラハラと崩れ落ちてしまった。まさに秋の終わりであることよ。 【鑑賞】手のひらの中で崩れ去ったものの儚さと、生命の営みが静かに閉じていく「暮の秋」の無常観が見事に重なり合っています。「はらりと」という擬音の優しさが、かえって秋の終わりの寂しさを際立たせています。

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