苦参引く
autumn 生活

苦参引く

くららひく

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意味・由来\n「苦参(くらら)」は山野の日当たりのよい草地に自生するマメ科の多年草です。噛むと目が眩(くら)むほど強い苦味があることから「眩草(くららぐさ)」と呼ばれ、それが転じて「くらら」と呼ばれるようになったとされています。その根は古くから健胃薬や解熱薬、殺虫効果のある生薬「苦参(くじん)」として重宝されてきました。秋になり地上部が枯れ始める頃、薬効の充実した根を薬用に採取するため土から引き抜く作業を「苦参引く」といい、秋の生活や植物の季語となっています。\n\n### この季語で詠むコツ\n苦参の根は地中深くまで頑丈に張っているため、引き抜くには全身の力を込める重労働となります。「抜く」ではなく「引く」という動詞が使われている通り、力任せに引っ張り上げ、勢い余ってよろめくような身体の動きや、土の匂い、乾いた秋風などの触覚・嗅覚をリアルに描写すると臨場感が出ます。また、深山や野山の澄んだ秋の風景と、土作業の泥臭さとのコントラストを描くのも効果的です。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n- 身体の動き・感覚を表す言葉(力、息、よろめく、泥、匂ひ、汗)\n- 山野の秋の情景(深山、青空、湖、尾根、乾く土、山風)\n- 道具や作業(鍬、籠、薬研、野道)

苦参引く」の俳句例 (3件)

苦参引くやうしろに青き湖のあり
前田普羅【現代語訳】苦参を引き抜く作業に没頭してふと振り返ると、背後にはどこまでも青く澄んだ湖が広がっていた。\n【鑑賞】足元の土に向かい合って苦参を引き抜くという泥臭く力強い労働と、振り返ったときの視界いっぱいに広がる秋の青い湖という雄大な自然美の対比が鮮やかです。視点の転換が見事な普羅の代表的佳句です。
苦参引く力あまればよろめきて
細見綾子【現代語訳】深く根を張った苦参を全身の力で引き抜いたところ、抜けた勢いに力が余って体がよろめいてしまった。\n【鑑賞】苦参の根の頑丈さと、それを抜く時の全身の踏ん張りが具体的に捉えられています。すぽんと抜けた瞬間の体勢の崩れに、作業の生々しさと素朴な生活の実感が滲み出ています。
苦参引く深山曇のたちまちに
飯田蛇笏【現代語訳】山奥で苦参を引き抜いていると、山の天気が急変してたちまち深い曇り空となってしまった。\n【鑑賞】秋の山の気象の移ろいやすさと、厳しい自然の中で薬草を採取する人物の孤独な佇まいが詠まれています。「たちまちに」という副詞が、山を覆う雲の速さと空気の冷え込みをリアルに伝えています。

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