櫟紅葉
autumn 植物

櫟紅葉

くぬぎもみじ

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意味・由来

「櫟紅葉(くぬぎもみじ)」は、ブナ科の落葉高木であるクヌギの葉が、晩秋に黄褐色や赤褐色に色づく様子を指す季語です。カエデやモミジのような鮮やかな真紅とは異なり、渋みのある落ち着いた茶褐色や金褐色に染まるのが特徴です。クヌギは古くから里山や雑木林の代表的な樹木であり、炭の原料やシイタケの原木、どんぐりの実る木として人々の暮らしに深く寄り添ってきました。華美ではない素朴な色合いが、深まる秋の寂寥感や温もりを伝えてくれます。

この季語で詠むコツ

櫟紅葉の魅力は、その「素朴さ」と「日差しの温かみ」にあります。鮮烈な美しさを追うのではなく、里山や雑木林の静けさ、夕日や木漏れ日を浴びて黄金色に鈍く光る葉の風情を捉えると実感がこもります。また、クヌギの葉は枯れてからもすぐには落ちず、枝に残って冬の風にカサカサと鳴ることも多いため、風の音や手触り、晩秋から初冬へ向かう季節の推移に焦点を当てるのも効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

・場所:里山、雑木林、武蔵野、農道、日溜まり、小径 ・情景・光:夕日、西日、木漏れ日、うす日、初霜 ・感覚・動作:かさこそと、照り映える、風の音、梢(こずえ)

櫟紅葉」の俳句例 (3件)

櫟紅葉あはれや風の吹き落す
高浜虚子【現代語訳】クヌギの紅葉した葉を、無情な風が吹き落としていくのがなんとも哀れであるよ。 【鑑賞】晩秋の風が容赦なく葉を散らしていく光景を、素直な感情で詠み留めています。渋く色づいたクヌギの葉が舞い散る様子に、過ぎゆく秋の惜しさと冬の訪れの予感をにじませています。
櫟紅葉夕日の色の満ちて来し
詠み人知らず【現代語訳】クヌギの紅葉した木々に、夕日の茜色が満ちるように広がってきた。 【鑑賞】暮れゆく晩秋の光が、クヌギの黄褐色の葉に重なり合って美しく輝く瞬間を色彩豊かに描いています。素朴な雑木林が夕日によって一瞬の華やぎを見せる情景が鮮やかに浮かびます。
橡紅葉日影もつともあたたかに
松本たかし【現代語訳】クヌギが黄褐色に色づくなか、射し込む日差しがこの上なく温かく感じられることだ。 【鑑賞】晩秋の冷え込む空気の中で、櫟(橡)の紅葉に注ぐ陽光のやわらかな温もりを捉えた名句です。派手さのないクヌギの葉色だからこそ、光のあたたかさが際立ち、日溜まりの安らぎがしみじみと伝わってきます。

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