九年母
autumn 時候

九年母

くねんぼ

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意味・由来\n「九年母(くねんぼ)」はミカン科の常緑低木で、柑橘類の一種です。植えてから実をつけるまでに9年かかることからその名がついたといわれています(「桃栗三年柿八年、九年母九年」などの俗諺もあります)。温州みかんが普及する以前、日本で古くから親しまれてきた古い柑橘で、果皮が厚くごつごつしており、独特の強い芳香と爽やかな酸味が特徴です。秋が深まるにつれ、鮮やかな橙黄色に色づくため、晩秋の季語として扱われます。\n\n### この季語で詠むコツ\n九年母を詠む際は、「くねんぼ」というどこか雅やかで素朴な語感や、その強い香りと酸味、色合いに着目するのがポイントです。現代のみかんとは一味違う、古民家の庭先や古寺、山里の風情を漂わせる存在感を意識すると、奥行きのある句になります。また、日差しを浴びて熟れる様子や、手に取ったときの皮の厚み・手触りなど、五感を働かせた描写を取り入れると効果的です。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n- 視覚・触覚:黄熟(うれる)、ごつごつ、古庭、日ざし、石垣、青空\n- 嗅覚・味覚:芳気(かおり)、酸っぱし、風の香\n- 情景・背景:古寺、夕日、影、里山、手折る

九年母」の俳句例 (3件)

九年母の落ちて日和の定りぬ
正岡子規【現代語訳】熟れた九年母の実がぽとりと落ちて、今日の秋晴れの天気がしっかりと定まった。\n【鑑賞】果実が地面に落ちたという小さく明確な出来事を通して、澄み渡るような秋の日和の確かさを描いています。静謐な空気感と晩秋の穏やかな時間の流れが感じられる写生句です。
九年母の香にむせびたる夕哉
夏目漱石【現代語訳】九年母のあまりにも芳烈な香りに、思わず息を詰まらせる(むせる)ほどの夕暮れであることよ。\n【鑑賞】九年母の皮が放つ強い芳香を大胆に表現した句です。「むせびたる」という実感のこもった言葉遣いによって、夕暮れの冷気の中に立ちのぼる芳香の濃密さが生々しく立ち現れます。
九年母に手をのばしたる日暮かな
与謝蕪村【現代語訳】暮れゆく夕景のなか、枝に実る九年母に向かって思わず手を伸ばしていることだ。\n【鑑賞】薄暗くなり始めた庭先で、黄色く鮮やかに浮かび上がる九年母の実に自然と手が伸びる瞬間を捉えた句です。晩秋の静けさと夕暮れの光、そして柑橘の鮮やかな色彩が絵画的に美しく調和しています。

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