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「九月尽く(くがつつく)」は、旧暦の九月三十日、すなわち「秋の最後の日」を指す季語です。現在の暦では10月下旬から11月上旬頃にあたり、まさに晩秋から初冬へと移り変わる季節の境界線となります。この時期は、色鮮やかだった紅葉が散り始め、朝晩の冷え込みが一段と厳しくなる頃です。単にカレンダーの上の日付が変わるというだけでなく、実りの秋、美しかった秋が完全に去り、厳しく寂しい冬が到来することへの惜別の情(行く秋を惜しむ心)が込められた、極めて情緒深い季語です。
「九月尽く」という言葉そのものに強い哀愁や寂寥感が含まれているため、詠む際にはその雰囲気をさらに引き立てる具体的な情景描写を描くことがポイントです。例えば、冷たさを増した「雨」や「風」、日が短くなって早く訪れる「夜」、心細さを象徴する「灯火(ともしび)」などを用いると効果的です。また、過ぎ去った豊かな日々(秋)を振り返る主観的な心の揺れを、目の前の冷ややかな自然現象に託して詠み込むと、深みのある一句に仕上がります。
・時間や光を表す言葉: ともしび(灯火)、夜半(よわ)、暮れ、夕闇 ・気象を表す言葉: 雨、風、凩(こがらし)、冷まじ(すさまじ) ・心の動きや動作: 惜しむ、更ける、聴く、見送る
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