候鳥
autumn 動物

候鳥

こうちょう

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意味・由来

「候鳥(こうちょう)」とは、季節の移り変わりにともなって決まった時期に渡りをする鳥、すなわち「渡り鳥」の漢語表現です。主に秋に北方から日本へ飛来する冬鳥(鴨や雁、鶫など)や、日本を経由してさらに南へと向かう旅鳥を指します。日常語の「渡り鳥」が詩情や旅情、情緒的な哀愁を帯びるのに対し、「候鳥」という漢語の季語は、自然の運行や気象のダイナミズムを客観的かつ格調高く捉える響きを持っています。

この季語で詠むコツ

「渡鳥」と詠むときよりも、少し引きの構図で雄大な自然のスケールを意識するのがポイントです。鳥の細かな愛らしさを追うよりも、広大な空、海原、山脈といった大自然を背景に、群れをなして飛ぶ姿や、張り詰めた秋の冷気を描き出すと季語の硬質で端正な美しさが際立ちます。漢字の重みを生かし、引き締まった描写を心がけましょう。

相性のいい言葉・取り合わせ

・空や風を捉える言葉(青野、蒼天、潮風、稜線、日脚) ・大自然のスケールを表す言葉(海原、絶壁、岬、雲海) ・光や動きを表す言葉(かすめ飛ぶ、翳す、きらめく、連なる)

候鳥」の俳句例 (3件)

候鳥の来て朝富士を磨きけり
阿波野青畝【現代語訳】渡り鳥が飛来して、清らかな朝の富士山をさらに磨き澄ますかのように美しく見せている。 【鑑賞】澄み切った秋の朝の空気と、その中を飛ぶ候鳥の姿によって、富士山の神々しい輪郭がいっそう鮮やかに際立つ様子を活写した爽快な名句です。
候鳥や海をかぎりの低き空
桂信子【現代語訳】渡り鳥が飛んでいる。海が行き止まりとなるあたりまで、空が低く垂れ込めている。 【鑑賞】広大な海と重く低い空の間に候鳥を配することで、厳しい自然の中を渡っていく鳥たちの旅路の過酷さと、秋の張り詰めた大気の冷たさを鋭く切り取っています。
候鳥の落ちゆく天の青き井戸
飯田蛇笏【現代語訳】渡り鳥が吸い込まれるように降りていく、どこまでも深い秋空という名の青い井戸よ。 【鑑賞】抜けるように深い秋の青空を「青き井戸」と見立て、そこへ吸い込まれるように飛び去る候鳥を描いた、格調高くスケールの大きな一句です。

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