木の実拾う
autumn 植物

木の実拾う

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意味・由来 「木の実拾う(木の実拾い)」は、秋の深まりとともに山野や公園、神社の境内などに落ちたクヌギやシイ、コナラなどの実を拾い集める、秋の心温まる生活情景を詠んだ季語です。単に「木の実」という場合は植物としての分類(季語)になりますが、「拾う」という人間の能動的な動作が加わることで、どこか懐かしい子供時代の思い出や、自然の恵みを肌で感じる素朴な喜び、そして過ぎ去る秋への惜別の情がより強調されます。 ### この季語で詠むコツ この季語を詠む際は、単に「木の実を拾った」という事実だけでなく、五感や身体の動きを具体的に描写することがポイントです。しゃがみ込む姿勢、拾い上げて手のひらで転がす感触、カサコソと乾いた落ち葉を踏む音、ポケットに溜まっていく重みなど、クローズアップした描写を取り入れることで、読者にその場の空気感や立体感を伝えることができます。 ### 相性のいい言葉・取り合わせ 動作や身体の一部を表す言葉(しゃがむ、掌、ポケット、指先)、場所や空間を想起させる言葉(境内、参道、裏山、通学路)、拾う主体の様子を表す言葉(幼子、童、無言、ひたすら)などと相性が良いです。また、「風の音」や「西日」など、秋の終わりを感じさせる気象の言葉と組み合わせるのも効果的です。

木の実拾う」の俳句例 (3件)

木の実拾ふてんてんとして皆遠し
篠原鳳作【現代語訳】木の実を拾っている人々が、あちこちにぽつんぽつんと散らばっていて、みんな遠くに離れているように見えることよ。【鑑賞】広々とした秋の林や野原で、それぞれが夢中になって木の実を拾っている光景です。没頭するあまり、お互いの距離がいつの間にか離れ、静寂の中に「点(てんてん)」として存在する人間たちの孤独と、秋の澄んだ空気感が美しく表現されています。
木の実拾ひそこらを墓地と思ひけり
永田耕衣【現代語訳】木の実を拾っているうちに、ふと自分のいるこのあたり一帯が墓地であるかのように思えてきたことだ。【鑑賞】静まり返った雑木林で、ただ黙々と木の実を拾う行為。しゃがみ込んで地面を見つめるその姿勢は、どこか祈りや死者への鎮魂にも似ています。日常の中にふと現れる彼岸(あの世)の気配を捉えた、作者独特の哲学的な深みを持つ一句です。
ポケットに木の実をこぼし拾ひけり
星野立子【現代語訳】ポケットに集めた木の実がこぼれ落ちてしまうのも構わず、さらに夢中になって木の実を拾っていることよ。【鑑賞】ポケットがいっぱいになって、歩くたびにこぼれ落ちてしまうほどたくさんの木の実と、それをまた楽しそうに拾い上げるという、無心で微笑ましい動作が捉えられています。子供のような純粋な喜びと、秋の一日ののどかな時間が、星野立子らしい素直で軽やかなスケッチによって見事に描かれています。

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