木の実時
autumn 植物

木の実時

このみどき

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意味・由来

木の実時(このみどき)」は、団栗(どんぐり)や栃の実、椎の実など、さまざまな木の実が熟して梢から零れ落ちる晩秋の季節を指す季語です。山野が豊かな恵みに満ちると同時に、冬の気配を帯びて静けさを増していく時期の情緒を表しています。「〜時(どき)」という表現には、単に木の実そのものだけでなく、木の実が実る頃の空気感や季節のうつろい全体を愛おしむニュアンスが含まれています。

この季語で詠むコツ

木の実そのものの形や色を細かく描写するより、その時期特有の山野の気配や光、音を詠み込むのが効果的です。例えば、木の実が乾いた音を立てて落ちる静けさや、木々を透かして届く柔らかな秋の日差し、落ち葉を踏みしめる足音など、周囲の空間や五感の体験と取り合わせることで、「木の実時」という季節の深まりが鮮やかに立ち上がります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 自然の情景・光(山路、雑木林、古寺、木漏れ日、谷あひ)
  • 音や静けさ(風の音、鳥の声、靴音、せせらぎ、静寂)
  • 行為や感覚(拾ふ、歩む、見上ぐ、日ざしあたたか、澄む)

木の実時」の俳句例 (3件)

木の実時鳩の胸毛のぬくもれり
飯田蛇笏【現代語訳】木の実が熟して落ちる深秋のころ、手にとった鳩の胸毛がほんのりと温かい。【鑑賞】木の実時のひんやりとした秋の気配の中で、鳩の胸毛の確かな温もりに生命の息づかいを感じ取った一句。自然の静けさと生き物のぬくもりの対比が鮮やかです。
落ち合へる谷の深さや木の実時
飯田龍太【現代語訳】山あいの谷と谷が合流する場所はなんと深いことか、ちょうど木の実が豊かに実るこの季節に。【鑑賞】山深い甲斐の自然を愛した作者らしい雄大な句です。深々とした谷の立体感と、静かに木の実を降らせる秋の山の豊かさが響き合っています。
木の実時鳥も山深く棲むらしき
水原秋桜子【現代語訳】木の実が落ちる季節となり、山鳥たちも餌を求めてか、より山の奥深くへと棲み処を移しているようだ。【鑑賞】山野の静まり返った様子から、鳥たちの気配が山奥へ移ったことを推し量っています。「木の実時」という季語が持つ、秋の深まりと山林の静けさを見事に捉えた作品です。

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