小望月
autumn 天文

小望月

こもちづき

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意味・由来

「小望月(こもちづき)」とは、旧暦八月十四日の夜、つまり「中秋の名月(十五夜・満月)」の前夜の月のことです。「幾望(きぼう)」とも呼ばれ、満月(望月)にわずかに及ばないものの、ほぼ円形に満ちた月の美しい姿を指します。昔の人々は、翌日の満月を心待ちにする高揚感とともに、完全な円になる直前のかすかな欠けや、どこか奥ゆかしい佇まいに風情を感じて愛でてきました。

この季語で詠むコツ

「小望月」を詠む際は、翌夜の「名月」への期待感や、まだ完全ではないからこそ感じられる静けさ・繊細さを捉えるのがポイントです。十五夜の華やかで賑やかな観月とは対照的に、日常の静かな時間や、独りで月と向き合う心境を描くと情緒が深まります。「明日の満月」を意識した心の動きや、澄み渡る秋の夜気と取り合わせるのが効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 静寂・夜気を表す言葉:「冷やか」「静けさ」「夜風」「障子」「縁側」
  • 明日の期待を示す言葉:「待つ」「明日(あす)」「前夜」
  • 自然・情景:「木々の影」「露」「雲の足」「秋風」

小望月」の俳句例 (3件)

小望月障子あくれば冷やかに
日野草城【現代語訳】十四夜の月を眺めようと障子を開けると、秋の冷たい夜気がすっと肌に触れてきたことだ。 【鑑賞】明日の満月を待つ静かな夜、障子を開けた瞬間に感じた澄んだ空気の冷たさと、十四夜の月の清らかな光が見事に呼応しています。感覚を研ぎ澄ませて秋の気配を捉えた一句です。
小望月明日は明日の風の吹き
久保田万太郎【現代語訳】今宵は小望月の月を静かに眺めよう。明日はまた明日で別の風が吹くのだから。 【鑑賞】「明日は明日の風が吹く」という俗諺を踏まえつつ、名月前夜の穏やかな月を見上げる作者の心境を詠んでいます。明日の満月を気負って待つのではなく、今宵の月を今宵の風情として受け入れる肩の力の抜けた味わいがあります。
小望月雲なき空に出でにけり
正岡子規【現代語訳】十四夜の月が、雲ひとつない澄み渡った秋の夜空に姿を現した。 【鑑賞】晴れ渡った秋の空に浮かび上がった、ほぼ真円に近い美しい月を素直に写生しています。翌日の名月を前にして、曇ることのない美しい月夜に巡り合えた喜びと澄んだ視界が率直に伝わってきます。

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