古米
autumn 生活

古米

こまい

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意味・由来

「古米(こまい)」とは、その年の秋に収穫された「新米」に対して、前年以前に収穫された米のことを指します。秋に待ち望まれた新米が出回り始めると、それまで日常を支えてくれた米は「古米」と呼ばれ、季節の移り変わりや歳月の経過を象徴する存在となります。 古米は水分が抜けて香りが薄れがちですが、炊き増えがすることや、あっさりとした味わいといった特徴もあります。秋の季語として用いる場合、新米の瑞々しい喜びと対比させた哀愁や、慎ましい日々の暮らしの手触り、あるいは残り少ない古米を大切にいただく侘び住まいの情趣を表現するのに重宝されます。

この季語で詠むコツ

古米を詠む際は、単に「古い米」という事実を述べるだけでなく、そこに宿る生活感や心理描写を重ねることがポイントです。 新米の季節が到来したからこそ意識される「古米を消費する日常の侘しさ」や、「新米を心待ちにする期待感」、あるいは「米を研ぐ手の冷たさ」「独特の炊きあがりの匂い」といった五感に触れる描写を取り入れると、句に深みが生まれます。新米への憧れと、古米への愛着・感謝の入り混じった微妙な情感を捉えてみましょう。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 日常・台所の動作:研ぐ、炊く、噛む、残る、量る
  • 秋の気配・気象:秋深し、秋時雨(しぐれ)、秋の暮、夜長、冷まじ
  • 対比の要素:新米、新藁、貧しき庵、病床、夕餉

古米」の俳句例 (3件)

古米食ふて新米待つや秋深し
正岡子規【現代語訳】残り少なくなった古米を食べながら、今年の新米が届くのを待っているうちに、秋もすっかり深まってきたことだ。 【鑑賞】病床にありながら食に人一倍の執着と楽しみを見出していた子規らしい、実直でユーモアの滲む一句です。秋の深まりとともに高まる新米への期待感と、今ある古米を淡々と平らげる日常の情景が鮮やかに描かれています。
古米炊く夜々のしぐれの定まりて
水原秋桜子【現代語訳】古米を炊く日々のなか、毎晩降る時雨の気配も定刻のように決まって訪れ、本格的な晩秋となった。 【鑑賞】夕餉に古米を炊く慎ましい生活音や匂いと、外で静かに降る秋時雨を対比させた風情ある名句です。季節の移ろいとともに深まる夜の静けさと、暮らしの落ち着きが見事に調和しています。
古米食ふ日日や病後の秋深む
石田波郷【現代語訳】古米を食べる平凡な毎日を重ねるうちに、大病を患ったあとの体にも染み入るように秋が深まっていく。 【鑑賞】病気療養中あるいは回復期の生活感を詠んだ句です。華やかな新米ではなく、あっさりとした古米を口にする日々の営みを通して、命の実感と晩秋のしみじみとした冷涼さが切実に伝わってきます。

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