秋時雨

秋時雨

あきしぐれ

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意味・由来

「秋時雨(あきしぐれ)」とは、秋の終わり頃に降る、通り雨のように降っては止む冷たい雨のことです。俳句で単に「時雨(しぐれ)」というと初冬(冬)の季語になりますが、それより少し早い晩秋の時雨を区別して「秋時雨」と呼びます。さっと降り抜けていく変わりやすい空模様とともに、日増しに深まる秋の冷気や、冬の訪れを予感させるもの寂しさを象徴する風情ある季語です。

この季語で詠むコツ

秋時雨の最大の特徴は「急に降り出してすぐに止む」という移ろいやすさと、「冷たさ・寂寥感」にあります。雨そのものの描写だけでなく、雨粒に濡れた紅葉や落ち葉の色彩の変化、さっと雨が上がった後の澄んだ青空、雨宿りをする人の所作など、降雨前後の情景や心理の機微を捉えると深みが出ます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・色彩・光:一抹の青空、濡れ葉、茜雲、薄日 ・場所・空間:松原、古寺、軒端、坂道、小路 ・動作・道具:傘、雨宿り、足音、濡つ(ぬれつ)

秋時雨」の俳句例 (3件)

秋時雨ふるや松原一里半
夏目漱石【現代語訳】一里半(約6キロ)にもわたって続く長い松原に、冷たい秋時雨がさっと降りかかってくることだ。 【鑑賞】果てしなく広がる松原の緑と、さっと通り過ぎる秋時雨の寂寥感が見事に対比されています。松の葉を濡らす冷たい雨の音や旅情が、簡潔なスケッチによって鮮やかに描き出されています。
秋時雨傘にかくるる女かな
正岡子規【現代語訳】急に降ってきた秋時雨に、さっと開いた傘の陰へと姿を隠すようにして歩く女性の姿であるよ。 【鑑賞】突然の通り雨に対する女性のしなやかな身のこなしを一瞬で切り取った写生句です。冷え冷えとした秋雨の中で、傘に隠れる女性の姿が情趣あふれる一幅の絵のように浮かび上がります。
秋時雨傘さしかくる仏かな
阿波野青畝【現代語訳】冷たい秋時雨が降る中、野仏に誰かがそっと傘を差し掛けてあることだ。 【鑑賞】野外に佇む石仏に、通りがかりの誰かが雨よけの傘を差し掛けたのでしょう。晩秋の冷たい雨の寂しさと、名もなき人の温かい信仰心や慈悲の心が美しく響き合っている名句です。

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