こぼれ萩
autumn 植物

こぼれ萩

こぼれはぎ

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意味・由来

「こぼれ萩」とは、秋の七草の一つである萩の細やかな小花が、風や雨、あるいは自然の移ろいによって地面や石畳、草むらなどに散り落ちる様子、また散り敷いた花そのものを指す季語です。盛んに咲き誇る美しさだけでなく、はかなく散りこぼれていく風情を慈しむ日本人の繊細な美意識が込められています。晩秋に向かう季節の寂寥感や、庭先の静けさを象徴する情緒豊かな言葉です。

この季語で詠むコツ

「散る萩」が動きそのものに焦点を当てるのに対し、「こぼれ萩」は散り落ちた花びらの存在感や、それが置かれた情景(石、苔、水たまり、庭箒など)に目を向けると詩情が深まります。小さな紅紫や白の花びらが何の上に散り、どのようなコントラストや光景を生んでいるかを具体的に描写するのがポイントです。

相性のいい言葉・取り合わせ

・場所・足元を表す言葉(飛石、苔、敷石、水琴窟、縁先) ・動作や道具を表す言葉(箒、掃く、踏む、佇む) ・時間や天候を表す言葉(秋雨、夕暮、朝露、日和)

こぼれ萩」の俳句例 (3件)

箒木にこぼれ萩あり庭の秋
高浜虚子【現代語訳】庭の箒木(コキア)のあたりに萩の花が散りこぼれており、庭はすっかり深まる秋の気配に包まれている。 【鑑賞】庭を掃き清めるための箒木に、風で散った萩の小さな花がかかっている情景です。日常の静かな庭の片隅に宿る秋の深まりを、穏やかかつ的確な写生で捉えています。
水打つてこぼれ萩なほ美しき
星野立子【現代語訳】庭に打ち水をすると、濡れた地面に散り敷いた萩の花が、いっそう鮮やかに美しく引き立っている。 【鑑賞】打ち水によって湿り気を帯びた地面と、そこに落ちた小さな萩の花の鮮やかさが際立つ一句です。女性らしい細やかな観察眼と、清潔感のある美しさが感じられます。
こぼれ萩石にしがみつくばかり
阿波野青畝【現代語訳】散り落ちた萩の花が、庭石の表面にまるでしがみついているかのように貼りついている。 【鑑賞】雨や露で濡れた庭石に、散った萩の小花がぴったりと密着している様子を「しがみつく」と擬人化して表現しました。散り果ててもなお残る花の存在感と生命の執着をユーモラスかつ印象的に描いています。

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