金琵琶
autumn 生活

金琵琶

きんびわ

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意味・由来

「金琵琶(きんびわ)」は、コオロギ科の昆虫「キンヒバリ(金雲雀)」の俳句における別名です。体長わずか7ミリメートルほどという非常に小さな虫ですが、全身が金黄色の鱗粉で覆われ、光を受けると美しく輝きます。その最大の魅力は鳴き声にあり、琵琶の弦を弾くような澄んだ金属質の音色で「リー・リー・リー」と鳴きます。この上品で涼やかな音色が琵琶の音を思わせることから「金琵琶」と名付けられ、秋の訪れを告げる風雅な季語として古くから愛されてきました。

この季語で詠むコツ

金琵琶は非常に小さく、草むらの奥深くに隠れているため、実際にその姿を見ることは稀です。そのため、基本的には「聴覚」に焦点を当てて詠むのがコツです。夜の静寂、更けゆく秋の空気、あるいは月明かりといった「静の空間」の中で、その澄んだ細い声がいかに響いているかを表現します。声の「小ささ」や「はかなさ」を際立たせることで、かえって秋の夜の深まりや、自然の豊かな営みが鮮明に浮かび上がります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 静寂や時間を示す言葉: 夜半(よわ)、夜更け、静けさ、灯(ともしび)、枕
  • 光や影を示す言葉: 月光、影、障子、ともし火、露の玉
  • 状態を表す言葉: かすか、澄む、ひそやか、鳴きやむ

金琵琶」の俳句例 (3件)

金琵琶の鳴きやみし夜の明るさよ
久保田万太郎【現代語訳】金琵琶の美しい鳴き声がふと鳴きやんだ瞬間、静まり返った夜の部屋の中が、かえって妙に明るく感じられることだ。 【鑑賞】それまで耳を占めていた美しく繊細な音が途絶えたことで、周囲の静けさと室内の灯りの白さが一気に意識に上ってくる瞬間を見事に捉えています。「音が消えたことで光が際立つ」という、人間の感覚の妙理を鮮やかに描き出した名句です。
金琵琶や障子にうつる竹の影
渡辺水巴【現代語訳】庭の草むらから金琵琶の澄んだ声が聞こえてくる。ふと目をやると、障子には月光に照らされた竹の影が静かに映し出されている。 【鑑賞】耳に聞こえる金琵琶の金属的な美しい鳴き声と、目に映る障子の竹の影という、聴覚と視覚の対比が実に見事です。秋の夜の静けさと雅やかさが、余計な説明なしに、一幅の絵画のように美しく定着されています。
金琵琶やいつも聞きゐる畳の上
高浜虚子【現代語訳】金琵琶の鳴き声を、いつものように畳の上に座って静かに聞き入っていることだ。 【鑑賞】何気ない日常の暮らしの一コマを詠んだ句です。特別な演出をせず、「畳の上」という日常の極めて平穏な場所で、毎年変わらずに聞こえてくる金琵琶の声を慈しむように聞いている。作者の穏やかな心境と、生活に根ざした秋の味わいが深く伝わってきます。

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