気虫
autumn 動物

気虫

きむし

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意味・由来

「気虫(きむし)」とは、主に毛虫(特に秋に見られるヒトリガの幼虫など)を指す秋の季語です。毛虫の「毛」が「気」に転じたという説や、皮膚に触れると「気が気でない(ぶつぶつができる)」こと、あるいはその気味悪さから「気虫」と名付けられたと言われています。秋が深まると、樹上の葉を食べつくした気虫たちが糸を垂らして地上へ下り、落ち葉の隙間や壁、時には室内へと這い出します。単に不快な虫としてではなく、秋の静けさや深まり、寒さに向かう季節の寂寥感を象徴する季語として親しまれてきました。

この季語で詠むコツ

気虫は嫌われやすい生き物ですが、俳句ではその小さな動作や存在感を丁寧に写生することで味わい深い句になります。「糸を垂らして落ちる瞬間」や「日向の石垣をゆっくり這う様子」など、視覚的な動きを具体的に観察することがポイントです。また、秋の冷たい風や傾く日差しといった季節感のある背景と取り合わせることで、気虫の持つ独特の哀愁や生命の営みを強調することができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 動詞:「這ふ(ほう)」「落つ」「糸引く」「蠢く(うごめく)」
  • 場所:「石垣」「畳」「庭」「落ち葉」「垣根」
  • 季節の言葉:「秋の風」「秋日」「日和」「影」

気虫」の俳句例 (3件)

気虫這ふ畳の上に秋の風
村上鬼城【現代語訳】毛虫が部屋の畳の上を這っている、その静かな空間に秋の風がそよと吹き込んでくる。【鑑賞】家の中にまで入り込んできた気虫のちっぽけな存在と、部屋を通る冷ややかな秋風が調和し、静寂と寂寥感が際立っている名句です。
気虫落つ糸の先なる秋の風
正岡子規【現代語訳】毛虫が糸を垂らして落ちてきた、その糸の揺れる先を冷たい秋の風が吹き抜けていく。【鑑賞】糸を垂らして降りてくる気虫の繊細な動きと、目に見えない秋風の冷たさを鮮やかに捉えた写生句です。小さな命の揺らぎに秋の深まりを感じさせます。
気虫這ふ石垣低き日和かな
高浜虚子【現代語訳】毛虫が低い石垣を這っている、穏やかで心地よい秋の小春日和であることよ。【鑑賞】秋晴れの暖かな日差しの中で、低い石垣をのんびりと這う気虫の姿を客観的に描写しています。季語「気虫」が持つ不気味さを和らげ、のどかな秋の一景として昇華させています。

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