菊月
autumn 天文

菊月

きくづき

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意味・由来

「菊月(きくづき)」とは、陰暦九月の異称で、秋の深まりとともに菊の花が咲き匂う季節であることからこう呼ばれるようになりました。現在の暦では10月上旬から11月上旬頃にあたり、晩秋の静けさと清々しさが同居する時期です。菊は長寿や気品を象徴する花であり、古くから重陽の節句(九月九日)などに菊酒を楽しむ風習もありました。季語としての「菊月」は、単に菊の花そのものを指すだけでなく、澄んだ空気や秋が深まる寂しさ、そして気品ある季節全体の雰囲気を優雅に表現する力を持っています。

この季語で詠むコツ

「菊月」という季語を使う際は、直接「菊の花」を過剰に描写しないのがコツです。言葉の中にすでに「菊」が含まれているため、背景となる光や風、生活のひとコマを取り合わせることで、秋の深まりを立体的に表現できます。また、「〜月」という響きがありますが、夜空に浮かぶ天体の「月」ではなく「九月という一ヶ月間」を指す言葉ですので、夜の月と混同しないよう注意しましょう。澄んだ秋空や日没の早さ、室内の静けさなどと組み合わせると情緒が引き立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・光や風を表す言葉(例:秋日、澄む、ひかり、清し、風の音) ・静かな生活感を表す言葉(例:畳、小窓、日陰、灯火、古寺) ・季節の深まりを表す言葉(例:青空、山雲、静寂、冷気)

菊月」の俳句例 (3件)

菊月や酒屋の看板新しき
正岡子規【現代語訳】菊月を迎えた。酒屋の店先に掲げられた看板も新しく付け替えられ、すがすがしい秋の気配が感じられる。【鑑賞】陰暦九月は新酒の季節でもあり、酒屋の看板が新しくなる光景から、秋の深まりと引き締まった季節感を生き生きと描いています。
菊月や晴れて寂しき山の雲
飯田蛇笏【現代語訳】菊月となり、空は晴れ渡っているが、山にたなびく雲にはどこか寂しげな風情が漂っている。【鑑賞】爽やかな秋晴れの中にも、晩秋特有のしんみりとした寂寥感を山雲の表情に見出している名句です。
菊月や畳にともす昼の灯
芥川龍之介【現代語訳】菊月を迎え、日差しが陰る昼下がりの室内に、畳を照らす明かりをぽっと灯す。【鑑賞】秋が深まり、昼間でも室内や日陰に冷気と薄暗さが漂う季節の情緒を、部屋の中の一景から静かに切り取っています。

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