菊牛
autumn 動物

菊牛

きくうし

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意味・由来\n「菊牛(きくうし)」は、秋(晩秋)の季語です。重陽の節句(旧暦9月9日)に、無病息災や五穀豊穣を祈願して、牛の角に菊の花を飾った風習、あるいはそのように美しく飾られた牛のことを指します。菊には邪気を祓い長寿をもたらす霊力があると信じられており、農耕に欠かせない相棒である牛の健康を祈る民間信仰と、宮廷の雅な文化が融合して生まれた情景です。\n\n### この季語で詠むコツ\n力強く実直な「牛」という動物と、気高く美しい「菊」という、静と動、野性と優雅さのコントラストを意識することが大切です。角に飾られた菊のみずみずしい色や香り、それをつける牛の穏やかな瞳やゆったりとした動きを丁寧に写生することで、秋ののどかな一日の空気感や伝統行事の温かみを表現できます。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n- 牛の部位や動作(「角」「瞳」「あゆみ」「鼻息」など)\n- 秋の光や自然(「夕日」「秋風」「日和」「野道」など)\n- 行事の雰囲気(「飾り」「手向け」「長寿」など)

菊牛」の俳句例 (3件)

菊牛や門を出づれば秋の風
飯田蛇笏【現代語訳】美しく菊の花で飾られた牛が門の外へと歩み出ると、涼やかで心地よい秋の風がさっと吹き抜けていくことだ。【鑑賞】ハレの日の装いをした牛が門を出るという動的な瞬間に、五感に訴えかける「秋の風」を合わせた名作です。おめでたい雰囲気の中に、秋ならではの清々しさと、季節の移ろいの寂しさが同居しています。
菊牛の角に夕日のなごりかな
正岡子規【現代語訳】角に菊の花を飾られた牛のその角に、沈みゆく夕日の光が名残惜しそうに美しく照り映えていることよ。【鑑賞】重陽の節句の祝われし牛を詠んだ一句。牛の角を飾る黄色や白の菊の花に、秋の終わりの柔らかな夕光が重なることで、伝統行事の厳かさと一日の終わりの寂寥感が美しく調和しています。
菊牛のよだれに菊の匂ひかな
立花北枝【現代語訳】角に菊を飾られた牛がだらりとよだれを垂らしているが、そのよだれからさえも不思議と気高い菊の香りが漂ってくるようだ。【鑑賞】牛という泥臭い動物の「よだれ」と、格調高い「菊の香り」を対比させた、諧謔(ユーモア)に富んだ一句です。おめでたいお祭りののどかさと、庶民的な視点からの温かい眼差しが感じられます。

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