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「既望(きぼう)」とは、陰暦八月十六日の夜、またはその夜に出る月のことです。「望(ぼう)」は満月(十五夜)を意味し、「既(すで)」に望を過ぎた月であることからこの名がつきました。和語の「十六夜(いざよい)」と同じ日を指しますが、漢語表現である「既望」は、より静的でどこか硬質かつ知的な響きを持っています。完璧な満月の宴が終わり、わずかに欠け始めた月が醸し出す、落ち着いた静寂と澄み渡る秋夜の美しさを象徴する季語です。
十五夜の華やかさや熱気から一歩引き、静まり返った夜の情景や、冷ややかな空気感を捉えるのがポイントです。「十六夜」よりも静謐で引き締まった印象を与える表現のため、澄んだ夜空、ひんやりとした風、月光が作る濃い影など、クールな視線で風景を写生する句によく合います。完璧を過ぎたことへの微妙な哀愁や、静かな深みを描き出してみましょう。
・静寂や冴えた光を表す描写(「冷やか」「静か」「冴ゆ」「高し」) ・月光に照らされる静かな対象(「湖」「波打ち際」「松の葉」「影」) ・夜の深まりを示す表現(「夜半」「更くる」「静まり返る」)