茱萸の佩
autumn 生活

茱萸の佩

ぐみのおびもの

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意味・由来

「茱萸の佩(ぐみのおびもの / しゅゆのおびもの)」は、陰暦九月九日の「重陽の節句(菊の節句)」の伝統的な風習に由来する晩秋の季語です。古代中国の故事で、高い山に登り茱萸の実を入れた袋を身につけて菊酒を飲むと邪気を祓い長寿を得られるとされたことから、日本でも平安貴族の宮中行事として定着しました。強い香りを持つ呉茱萸(ごしゅゆ)の実を赤や紫の錦の袋(茱萸嚢=しゅゆのう)に入れ、帯や肘に佩(お)びて厄除けや延命を祈願した典雅な装飾品です。

この季語で詠むコツ

現代では実生活で目にすることが少ない典雅な季語であるため、古典的な雅びや風雅な風情、あるいは故事への憧憬を込めて詠むのが効果的です。赤く熟した実の鮮やかさや特有の香り、重陽の節句に伴う「長寿・無病息災への祈り」「菊酒」などのモチーフと響き合わせると、奥深い情緒が生まれます。また、現代の暮らしの中での厄除けの思いに託して詠み替えることも可能です。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 節句・行事関連:重陽、菊の宴、菊酒、登高(とうこう)
  • 色や質感を表す言葉:紅(くれない)、朱、錦、香気、綾絹
  • 動作・感情:佩く(はく)、結ぶ、祈る、寿ぐ(ことほぐ)、古りぬ(ふりぬ)

茱萸の佩」の俳句例 (3件)

茱萸嚢肘にかけたる日並かな
松尾芭蕉【現代語訳】重陽の節句に厄除けの茱萸の袋を肘に掛けて過ごすうちに、日数が穏やかに過ぎてゆくことだなあ。 【鑑賞】中国の故事に従い、茱萸嚢を肘にかけて重陽の余情を静かに楽しんでいる句です。節句の当日だけでなく、その前後の日々の落ち着いた暮らしと秋の深まりを「日並かな」という言葉でしみじみと表現しています。
茱萸の嚢佩たるほどは寿や
宝井其角【現代語訳】茱萸の袋を身につけている間は、まさに無病息災と延命長寿のめでたさそのものであることよ。 【鑑賞】茱萸嚢が持つ厄除け・不老長寿の霊力をストレートに寿いだ句です。其角らしい華やかさと古典を踏まえた祝意が込められており、節句の晴れやかな気分が鮮やかに伝わってきます。
茱萸嚢佩くや重陽の山高し
正岡子規【現代語訳】茱萸の袋を帯に佩びて山を仰ぎ見ると、重陽の日にふさわしく山が高くそびえている。 【鑑賞】重陽の日に高きに登って災厄を避けるという中国古来の「登高」の風習を念頭に置いた句です。身につけた茱萸嚢の細やかな美しさと、秋晴れの空にそびえ立つ雄大な山の高さとの対比が爽快です。

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