萱きり
autumn 生活

萱きり

かやきり

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意味・由来

「萱きり(かやきり)」は、キリギリス科の昆虫「カヤキリ」を指す秋の季語です。カヤ(ススキなど)の生い茂る草むらに生息し、体長は5センチ前後と大型で、夜間に「ジーー」と金属的で非常に大きな声で連続して鳴くのが特徴です。その鳴き声が、まるで萱(かや)を切り裂いているかのように聞こえることから、この名がついたと言われています。その鋭い顔立ちと強靭な顎、そして圧倒的な音量で鳴く様子は、秋の夜の深まりや寂しさを強く印象づける存在として、古くから俳句に詠まれてきました。

この季語で詠むコツ

カヤキリは、その大きな鳴き声と、近くで見ると少し恐ろしげな鋭い風貌(顎や顔つき)が特徴です。そのため、単に「秋の虫の声」として優雅に詠むのではなく、その「鋭さ」「音の激しさ」「夜の闇の深さ」を強調すると効果的です。また、直線的に飛んで草むらに飛び込むダイナミックな動きに焦点を当てるのも、他の秋の虫にはない個性を表現する良い方法です。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 夜の闇、夜霧、夜雨(カヤキリが活動し、その存在感が際立つ時間や天候)
  • 露、薄(すすき)、草刈り鎌(生息する環境や、名前の由来を連想させるもの)
  • 燈火、ランプ、障子(人家の近くに飛んできたときの対比)

萱きり」の俳句例 (3件)

かやきりの貌のむきだす夜霧かな
飯田蛇笏【現代語訳】夜霧が立ち込める中、カヤキリがその独特の鋭い顔をむき出しにして潜んでいるのが見えるようだ。【鑑賞】夜霧の中に潜む虫の生命感を、その「貌(かお)」という強い言葉で表現した句。カヤキリの大きな頭部と鋭い大顎が、霧の向こうから浮かび上がるような不気味さと力強さを感じさせます。
かやきりの飛びて落つるや闇の底
飯田蛇笏【現代語訳】カヤキリが夜の闇の中を飛び立ち、そして再び深い闇の底へと落ちるように着地した。【鑑賞】直線的に飛び、突然草むらに落下するように着地するカヤキリの習性を捉えています。闇の深さと、その中で完結する虫の短い羽ばたきが、秋の夜の寂寥感を際立たせています。
かやきりや一本ひかる草の露
原石鼎【現代語訳】カヤキリが鳴いている。その近くの、たった一本の草に宿った露が、夜の闇の中で美しく光っていることよ。【鑑賞】鋭く鳴き続けるカヤキリの声と、一滴の露の静かな輝きとの対比が美しい一句です。静と動、音と光が凝縮された、秋の夜の繊細な情景が目に浮かびます。

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