牽牛星
autumn 天文

牽牛星

けんぎゅうせい

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意味・由来

「牽牛星(けんぎゅうせい)」は、わし座の主星「アルタイル」の和名・漢名であり、七夕伝説における「彦星(ひこぼし)」のことです。旧暦七月七日の七夕の夜、天の川を挟んで輝く織女星(ベガ)と年に一度の逢瀬を果たす伝説で知られています。天文上の季語としては初秋に分類され、秋の澄んだ夜空に凛とした光を放つ男性的な星として捉えられます。「彦星」という呼び名が親しみやすさを持つのに対し、「牽牛星」と漢語で表記・発音することで、星座としての厳かな風格や、悠久の宇宙の広がり、やや硬質で知的な風情を醸し出すことができます。

この季語で詠むコツ

「牽牛星(けんぎゅうせい)」は六音(字余りになりやすい、あるいは五音の枠に収める工夫が必要)の重量感ある言葉です。「牽牛星や」「牽牛星の」などと上五や中七に据えて、夜空の広大さや静寂を際立たせるのが効果的です。七夕の情緒的な恋の物語に寄り添うだけでなく、秋の夜の冷気、川のせせらぎ、旅の孤独感など、自然の情景や澄み切った大気感をリアルに描写すると、格調高い句に仕上がります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 天体・自然現象: 天の川、銀漢、夜涼(やりょう)、夜霧、秋風、露
  • 風景・場所: 山の端、水音、川波、渚、古城、野道
  • 心情・状態: 仰ぐ、澄む、ひとり、遠し、高し

牽牛星」の俳句例 (3件)

牽牛星に水ゆく音や星祭
飯田蛇笏【現代語訳】牽牛星が静かに瞬く夜空の下、川の水が流れる音がどこからか聞こえてくる、今宵は星祭(七夕)であることよ。 【鑑賞】天上の牽牛星と地上のせせらぎの音を響き合わせることで、星祭の夜の静謐さと清冽な空気を立体的に描き出しています。甲斐の山河に生きた蛇笏らしい、自然の幽玄さが漂う名句です。
牽牛星の高くかかれる夜涼かな
正岡子規【現代語訳】牽牛星が夜空の高くにかかっている、肌に心地よい秋の夜涼であることだ。 【鑑賞】秋の澄んだ高い空に凛と輝く牽牛星を見上げ、初秋ならではの心地よい涼気を感じている句です。「高くかかれる」という視覚と「夜涼」という皮膚感覚が見事に調和し、すがすがしい夜の情景が浮かびます。
牽牛星の光りやうすし秋の風
夏目漱石【現代語訳】牽牛星の光がどこか淡くかすかに見える、吹き抜ける秋の風のせいであろうか。 【鑑賞】夜空に瞬く星の光の儚さと、季節の移ろいを告げる秋風の冷たさを結びつけた一句です。文豪・漱石らしい繊細な感受性が、星の光の微妙なニュアンスを通じて表現されています。

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