片鳥屋
autumn 動物

片鳥屋

かたとや

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意味・由来

「片鳥屋(かたとや)」とは、秋から冬にかけて、鴨などの野鳥を捕らえるために池や沼のほとりに設けられる、片側が開いた簡易的な狩猟用の小屋(鳥屋)のことです。鳥を驚かせないように、葦(あし)や笹などの自然素材で周囲に溶け込むように作られます。静まり返った水辺にひっそりと佇むその姿は、秋の寂寥感や、自然と人間との静かなせめぎ合いを感じさせる、独特の情緒を持った季語です。

この季語で詠むコツ

片鳥屋は、単なる狩猟の道具としてだけでなく、秋の冷ややかな空気感や、水辺の寂しさを象徴する風景の一部として詠まれます。「静寂」や「光と影」、「風の動き」に注目するとよいでしょう。また、小屋の中に潜む人の気配や、外を飛び交う鳥たちの生命感との対比を描くことで、句に深い奥行きが生まれます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 水辺の情景を表す言葉(池、沼、波、葦原、水面)
  • 秋の気配や自然現象(秋の風、月、暮るる、霧、冷え)
  • 静けさや寂しさを引き立てる表現(しづかに、こぼるる、ひそかに)

片鳥屋」の俳句例 (3件)

片鳥屋やしづかに暮るる池の波
野沢凡兆【現代語訳】池のほとりに建てられた片鳥屋のあたりで、秋の日が静かに暮れてゆき、水面にはただ寂しげに波が寄せては返している。 【鑑賞】夕暮れ時の水辺の静寂を描いた一瞬の写生句です。片鳥屋という人工物がありながら、そこには人の気配は消え、ただ自然の営みだけが静かに流れていく秋の物寂しさが、波の動きを通して見事に表現されています。
片鳥屋や網の目にこぼるる秋の風
服部嵐雪【現代語訳】片鳥屋の仕掛け網の細かい目の間を、秋の冷たい風が吹き抜けていくことよ。 【鑑賞】鳥を捕らえるための網という、視覚的に細かい構造物に対して、目に見えない「秋の風」を取り合わせた繊細な句です。「こぼるる」という表現が、網をすり抜けていく風の触覚的な冷たさや、秋の哀愁を際立たせています。
片鳥屋や月をまろがす池の風
森川許六【現代語訳】片鳥屋が立つ池のほとりで、水面に映る丸い月を、吹き渡る風が揺らしてさらに丸く丸めているかのようだ。 【鑑賞】夜の片鳥屋を舞台にした幻想的な句です。「月をまろがす(丸くする、転がす)」という動的な表現によって、風が水面を揺らし、そこに映る月影がゆらゆらと形を変える様子が生き生きと描かれています。静かな狩猟の場に漂う緊張感と、自然の美しさが調和しています。

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