橿鳥
autumn 動物

橿鳥

かしどり

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意味・由来

「橿鳥(かしどり)」はカラス科の鳥「カケス」の異名で、秋の季語です。カシやナラなどのドングリ(樫の実)を好み、冬に備えて土中や樹皮の隙間に隠して蓄える習性があることから「かしどり」と呼ばれるようになりました。体は淡い茶褐色をしていますが、翼の一部に美しい瑠璃色と黒白の横斑があり、地味な秋の山野で一際鮮やかに目を引きます。一方で、鳴き声は「ジェー、ジェー」と濁った大声で、その美しい姿とのギャップも特徴的な鳥です。

この季語で詠むコツ

橿鳥を詠む際は、その「美しい青い羽」の色彩、ドングリを蓄える「山林での静かな営み」、あるいは「鋭く濁った鳴き声」のいずれかに焦点を当てると、鳥の個性が際立ちます。特に、秋が深まり落葉が進む山の中での一瞬の動きや、周囲の静寂と鳴き声の対比を描写することで、冷涼で澄んだ山の空気感を表現することができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 「櫟(くぬぎ)」「楢(なら)」「どんぐり」など、橿鳥が好む落葉樹やその実。
  • 「霧(きり)」「時雨(しぐれ)」「風」など、山の厳しい自然や気象を表す言葉。
  • 「青」「瑠璃(るり)」「斑(まだら)」など、美しい羽の色彩を際立たせる言葉。

橿鳥」の俳句例 (3件)

橿鳥や静まりかへる櫟原
水原秋桜子【現代語訳】橿鳥が一声鋭く鳴き声を響かせたかと思うと、その後の櫟の原野は、より一層しんと静まり返っている。【鑑賞】秋桜子が得意とする叙情的な写生句です。橿鳥の「ジェー、ジェー」という激しく濁った鳴き声が響いた直後、かえって周囲の静寂が深く、冷ややかに感じられる様子を捉えています。聴覚を通して、秋の広大な山野の寂寥感と冷涼な空気感を見事に表現しています。
橿鳥の羽をふるふや霧の中
飯田蛇笏【現代語訳】白く深く立ちこめる霧の中で、一枚の絵のように、橿鳥がその美しい羽をぶるぶると震わせていることよ。【鑑賞】蛇笏らしい格調高く重厚な写生句です。秋の冷たい霧に包まれた山林の中で、静かに、しかし生命力に満ちて羽を震わせる橿鳥の一瞬の動作を捉えています。霧の「白」と橿鳥の羽の「青」のコントラストが、読者の脳裏に鮮やかに浮かび上がります。
橿鳥の青き羽落つる櫟かな
芝不器男【現代語訳】茶色く色づき始めた櫟(くぬぎ)の林の中に、橿鳥の美しい青い羽が、はらりと静かに落ちていくことだ。【鑑賞】26歳で夭折した天才俳人・芝不器男による、極めて絵画的で繊細な名句です。どんぐりの実る地味な櫟の林と、橿鳥が残していった瑠璃色の羽という色彩の対比が見事です。静まり返った秋の山林の静寂と、一瞬の視覚的な美しさを結晶化させています。

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