雁の書
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雁の書

かりのふみ

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意味・由来\n「雁の書(かりのふみ)」は、秋に渡ってくる雁の群れが空を整然と列をなして飛ぶ姿が、まるで空に文字を書いているように見えることから生まれた季語です。また、中国の漢代の故事において、匈奴に捕らえられた蘇武(そぶ)が雁の足に手紙を結びつけて漢の皇帝に自らの無事を伝えたという伝説(蘇武の雁書)にも由来しています。このことから、単に雁の列を指すだけでなく、「遠方からの手紙」や「大切な人からの便り」という意味も内包する、非常に情緒豊かでロマンチックな季語です。\n\n### この季語で詠むコツ\n空に描かれる雁の列を「文字」や「メッセージ」として捉える見立ての面白さを意識すると良いでしょう。実際に雁が飛んでいる視覚的な風景を描写するだけでなく、届くはずの便りを待つ心の揺れ動きや、遠く離れた大切な人への思慕の情を託すなど、主観的な心情と重ね合わせることで、より深みのある句が生まれます。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n* 空、雲、夕焼け、夕闇、風などの天象\n* 便り、手紙、封、届く、待つ、筆などの「通信」に関連する言葉\n* 一文字、乱れる、消える、墨などの「書」を連想させる動詞や名詞

雁の書」の俳句例 (3件)

雁の書を読み落したる夕日かな
松瀬青々【現代語訳】空を渡る雁たちが描く文字を読み落としてしまったかのように、夕日は沈み、あっけなく空が暗くなっていく。【鑑賞】空を便りに見立て、夕日という大きな存在がそのメッセージ(雁の書)を読み損ねたまま沈んでいくという、壮大かつユーモラスな見立てが光る作品です。
雁の書や一文字崩す風のあり
上島鬼貫【現代語訳】空を行く雁の群れが描く一文字の書があるが、風が吹いてその列が乱れ、文字が崩れてしまったようだ。【鑑賞】美しく整って飛んでいた雁の列が、風に煽られて不規則に崩れる一瞬を「一文字が崩れる」と言い表した、視覚的で動きのある名句です。
雁の書や夕日の筆のあともなし
加賀千代女【現代語訳】空を飛ぶ雁の列が文字を描いている。しかし、夕日の筆で書かれたその美しい文字の跡は、たちまちのうちに消えてしまい、何も残ることはない。【鑑賞】夕暮れの空に連なる雁の姿を、筆で書かれた文字に見立てつつ、それが一瞬で夕闇に消えていく無常感や美しさを繊細に捉えた一句です。

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