かりがね寒き
autumn 時候

かりがね寒き

かりがねさむき

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意味・由来

「かりがね(雁)」は、秋に北方からシベリアを越えて日本へと渡ってくる渡り鳥のことです。「かりがね寒き」とは、この雁が夜空を渡ってゆく時期の、身に染みるような本格的な秋の寒さを表現した季語です。単に気温が低いという物理的な寒さだけでなく、寂しげに響く雁の鳴き声や、冷たい夜空を渡っていく姿が、人々の心に心細さや哀愁を呼び起こすという情趣的な寒さを内包しています。

この季語で詠むコツ

雁そのものを写生するのも良いですが、その「声」や「影」をきっかけとして、自分自身の周囲にある秋の冷気や静寂に目を向けるのがコツです。家の中にいてふと外から聞こえる声に耳を澄ます様子や、旅先での孤独感など、主観的な「寒さ」と取り合わせることで深い共感を生む句になります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 空や光:「月影」「宵闇」「薄暮」「雲のゆきき」
  • 住まいや生活:「障子」「灯火」「一人旅」「温き茶」
  • 聴覚・視覚:「遠ざかる」「かすかな声」「影」

かりがね寒き」の俳句例 (3件)

かりがねや寒うなり行く夜の雲
向井去来【現代語訳】空を渡る雁の鳴き声が聞こえてくる。夜の雲を見上げていると、いよいよ寒さが身に染みるようになっていくことだ。【鑑賞】去来が秋から冬へと移り変わる季節の移ろいを繊細に捉えた句です。冷え冷えとした夜の雲の様子と、見えない雁の声が深まる寒さをいっそう強調しています。
かりがねや障子に寒き墨の影
与謝蕪村【現代語訳】障子越しに雁の鳴き声が聞こえる。ふと見ると、冷え冷えとした月光が、まるで寒々とした墨絵のような影を障子に落としている。【鑑賞】蕪村が得意とする絵画的な美しさが際立つ一句です。耳に聞こえる「かりがね」の声と、目に映る冷ややかな「墨の影」という視覚・聴覚の対比が実に見事です。
かりがねやどこら寒くて声のする
小林一茶【現代語訳】空を渡っていく雁たちよ。お前たちは空のどのあたりが寒くて、そんなに寂しげな声をあげて鳴いているのだね。【鑑賞】一茶らしい、小さな生き物に対する温かい同情とユーモアが込められた句です。冷たい秋風の中を懸命に旅する雁を擬人化し、自らの寒さと重ね合わせるようにして語りかけています。

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