寒蟬鳴く
autumn 時候

寒蟬鳴く

かんせんなく

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意味・由来

寒蟬鳴く(かんせんなく)」は、日本の七十二候(二十四節気をさらに細かく分けたもの)の一つで、処暑の次候(おおむね8月28日から9月1日頃)に当たります。「寒蟬(かんせん)」とは、夏の終わりから秋にかけて鳴くツクツクボウシやヒグラシなどの秋の蝉を指し、その冷涼な秋の気配の中に響く声を意味します。どこか哀愁を帯びたその鳴き声は、過ぎゆく夏を惜しみ、深まる秋の訪れを知らせる風物詩として古くから親しまれてきました。

この季語で詠むコツ

この季語を詠む際は、単に蝉の声を描写するだけでなく、「耳で感じる涼しさや寂しさ」を表現するのがコツです。昼間の猛烈な暑さが和らぎ、夕暮れ時の涼風が立ち始める時間帯や、ふと静まり返った周囲の気配など、時間の移り変わりと組み合わせると効果的です。視覚的な「光の翳り(かげり)」や「影の伸び」などと響き合わせることで、秋の気配をより立体的に描き出すことができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 時間や光を表す言葉:「夕暮れ」「日のかげ」「たそがれ」「茜空」
  • 静寂や寂しさを表す言葉:「しづけさ」「ふと止む」「影法師」
  • 自然や場所を表す言葉:「木立」「山肌」「寺の鐘」

寒蟬鳴く」の俳句例 (3件)

寒蝉やつくづく赤い不二の肌
小林一茶【現代語訳】秋の蝉が鳴く中、夕日に照らされた富士山の肌がつくづく赤く見えることよ。【鑑賞】晩夏の夕暮れ、哀切に響く蝉の声を聞きながら、夕日に染まる赤富士の姿をじっと見つめている一茶の視線が浮かびます。寂寥感の中に力強い自然の色彩が対比されています。
寒蝉のなきはててよりしづかなり
高浜虚子【現代語訳】ひぐらしが鳴きやんでからは、あたりはさらにいっそう静かになったことだ。【鑑賞】夕暮れ時、それまで賑やかに、あるいは哀しげに鳴き立てていた寒蝉の声がふっと途切れた瞬間の、静寂の深まりを見事に捉えています。
寒蝉の鳴きやむ時や日の光
与謝蕪村【現代語訳】秋の蝉が鳴きやんだその瞬間、差し込む日の光が急に鮮やかに感じられることよ。【鑑賞】聴覚の途切れが、視覚(日の光の鮮明さ)への意識の転換を促す瞬間を描いています。静けさの中に、秋の澄んだ光が際立つ一瞬を捉えた名句です。

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