歓喜日
autumn 時候

歓喜日

かんぎび

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意味・由来

歓喜日(かんぎび)は、旧暦七月十六日(新暦では八月〜九月頃)を指す秋の季語です。この日は「地獄の釜の蓋が開く日」とされ、地獄で責め苦を受ける亡者たちもこの日ばかりは拷問を免れて歓喜することから、この名が付けられました。また、商家などに奉公していた人々が休みを得て実家に帰る「藪入り(やぶいり)」の日とも重なっており、現世の人間にとっても喜びの日でした。閻魔堂に参詣したり、寺院で供養を行ったりする風習があり、宗教的な厳かさと庶民的な温かみが混ざり合った独特の情緒を持っています。

この季語で詠むコツ

単に「おめでたい日」として捉えるのではなく、生と死、現世とあの世が優しく交差するような不思議な雰囲気を意識するのがコツです。秋の澄んだ空気、お寺の静寂、あるいは故郷の懐かしい風景などと組み合わせることで、季語の持つ歴史的・精神的な深みが引き立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・寺社・信仰に関する言葉(閻魔堂、線香、念仏、鐘の音) ・秋の訪れを感じさせる自然(秋風、つくつくぼうし、薄月) ・人の営み(故郷、路地、影、参詣)

歓喜日」の俳句例 (3件)

歓喜日や風の吹通す閻魔堂
久保田万太郎【現代語訳】歓喜日の今日、閻魔堂には涼しい秋風が心地よく吹き抜けていく。【鑑賞】地獄の蓋が開くと言われる歓喜日に、恐ろしい閻魔大王が祀られた堂内を秋風が通り抜ける爽やかさと静寂感を巧みに捉えた名句です。
歓喜日や墓のへりなるつくつくし
飯田蛇笏【現代語訳】歓喜日を迎えた静かな墓地の片隅で、ツクツクボウシが鳴いている。【鑑賞】先祖の霊やあの世に思いを馳せる歓喜日に、秋の深まりを告げるツクツクボウシ(法師蝉)の声が重なり、生と死のあわいを感じさせるしんみりとした情緒を醸し出しています。
歓喜日や仏の膝の埃ぬぐふ
渡辺水巴【現代語訳】歓喜日の今日、ありがたい仏様の膝に溜まった埃を優しく拭い去る。【鑑賞】縁日に合わせて仏像を丁寧に掃除する日常の小さな手入れを描いた句です。仏様への敬意と、歓喜日ならではの心やすまる穏やかな時間が伝わってきます。

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