鉦叩
autumn 生活

鉦叩

かねたたき

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意味・由来 鉦叩(かねたたき)は、カネタタキ科の1センチに満たない小さな虫です。秋の夜、庭の生垣や家の中の暗がりから「チン、チン、チン、チン」と、仏壇の鉦(かね)を小さく叩くような澄んだ規則正しい音で鳴くことからこの名が付きました。姿は目立たず、声だけが静かに響くのが特徴です。 ### この季語で詠むコツ 鉦叩は、鈴虫や松虫のように華やかに鳴くのではなく、ひっそりと孤独に鳴く虫です。そのため、周囲のしじまや、人間の心の内にある寂しさ、夜の深まりなどを表現するのに適しています。かすかな音に耳を澄ます主観の動きや、身の回りのささやかな事物と取り合わせると良いでしょう。 ### 相性のいい言葉・取り合わせ 「灯火(ともしび)」「畳(たたみ)」「柱時計」「夜更け」「一人(ひとり)」「障子」など、静かな夜の室内を想起させる言葉や、孤独感・静寂感を醸し出す名詞と非常に相性が良いです。

鉦叩」の俳句例 (3件)

鉦叩き己が光の中に鳴く
富安風生【現代語訳】鉦叩が、まるで自分自身が放つ静かな光の中に包まれているかのように鳴いている。【鑑賞】小さな鉦叩の澄んだ鳴き声を聞いているうちに、作者にはその小さな虫の周囲に神聖な光の輪が見えるような錯覚を覚えたのでしょう。静寂の中で命を輝かせて鳴く虫への愛おしさと、神秘的な美しさを捉えた名句です。
鉦叩く夜は畳の塵も見ゆ
高浜虚子【現代語訳】鉦叩が鳴く静かな夜は、普段は気にも留めない畳の上の小さな塵までがはっきりと目に見えるようだ。【鑑賞】鉦叩の「チン、チン」という規則的な細い音によって、部屋の静けさが極限まで際立ち、視覚までもが異常に研ぎ澄まされていく様子を、畳の上の塵という極小の対象を通して見事に表現しています。
鉦叩病める手足の置きどころ
石田波郷【現代語訳】鉦叩の鳴く夜、病床にある私は、自分の病んだ手足をどこに置けば落ち着くのか分からず、もてあましている。【鑑賞】療養生活を送る作者が、夜中にひっそりと鳴く鉦叩の音を聞きながら、肉体の苦痛や不自由さ、そしてやり場のない孤独感に対峙している様子が痛切に伝わってくる一句です。鉦叩の単調な響きが、病人の神経をいっそう鋭敏にさせています。

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