影灯籠
autumn 生活

影灯籠

かげどうろう

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意味・由来

「影灯籠(かげどうろう)」は、秋の夜の情緒を添える美しい季語です。江戸時代などに親しまれた「走馬灯(そうまとう)」の別称であり、灯籠の内側に切り抜いた絵を貼り、中の蝋燭の熱による上昇気流で枠を回転させ、外側の紙に影を映し出す玩具・照明器具を指します。回り灯籠とも呼ばれます。影がくるくると回り、次々と現れては消えていく様子は、はかなさや無常観、過去の記憶の象徴として、古くから俳句に詠まれてきました。

この季語で詠むコツ

影灯籠を詠む際は、光と影の「動き」や「はかなさ」に注目するのがコツです。くるくると回り続ける影の動的な面白さを詠むか、あるいは火が消えた瞬間の静寂や暗闇、そこに残る余韻を詠むかで、句の雰囲気が大きく変わります。また、次々に通り過ぎる影を、自分の過去の思い出や、今は亡き人々への思慕と重ね合わせることで、読者の心に深く響く詩情を生み出すことができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・動きや視覚を表す言葉:「回る」「巡る」「消える」「ほのめく」「ゆらめく」 ・感情や雰囲気を表す言葉:「恋し」「さびし」「おもかげ」「夢」「幻」「夜半」 ・室内や調度品:「障子」「畳」「灯芯」「薄暗がり」

影灯籠」の俳句例 (3件)

影灯籠一もどりして消えにけり
久保田万太郎【現代語訳】影灯籠が、最後にくるりと一度だけ逆戻りするように回ってから、ふっと消えてしまったことよ。【鑑賞】走馬灯の動きの終わり際を、実によく観察して捉えた写生の一句です。一瞬の動きのあとに訪れる闇の深さが印象的です。
影灯籠おもひ出づべき人多し
与謝蕪村【現代語訳】影灯籠のくるくると回る影を見ていると、かつて親しかった、今は亡き多くの人々の面影が次々と思い出されてくることよ。【鑑賞】走馬灯の影が回りながら現れては消える様子を、去りゆく人々への追憶に重ね合わせた蕪村の繊細な情感が漂う名句です。
影灯篭影なき時はさびしけれ
加賀千代女【現代語訳】美しい影を映して回り、目を楽しませてくれる影灯籠だが、火が消えて影が映らなくなってしまった時は、いっそう寂しさが身に染みるものだ。【鑑賞】動いていた影が消えた瞬間の静寂と、そこに訪れる秋の物寂しさを、素直かつ情緒豊かに詠み上げています。

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