いなご

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意味・由来

「蝗(いなご)」は、秋の田んぼや野原で盛んに飛び跳ねるバッタ科の昆虫で、三秋(秋全般)の季語です。稲穂が実る頃に多く見られ、古くから稲を食い荒らす害虫として知られる一方、貴重な蛋白源として佃煮など食用にも重宝されてきました。秋の豊かな実り、稲刈り前後の田園風景や人々の農作業の営みと深く結びついた、親しみやすく生活感のある季語です。

この季語で詠むコツ

蝗の最大の特徴は「跳躍する動き」と「秋の田園の明るい光」です。足元からパッと音を立てて飛び立つ躍動感や、秋晴れの光を浴びて金色や緑色にきらめく姿を捉えると生き生きとした句になります。また、「蝗捕り」として子どもたちが袋を手に追いかける昔ながらの郷愁や、稲刈り後のひっそりとした田の空気感との対比を描くのも効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

・田園・自然の情景:稲刈(いねかり)、落穂(おちぼ)、畦道(あぜみち)、夕日、秋晴(あきばれ) ・動作・感覚:跳ぶ、跳ねる、捕る、袋、乾く、黄金色(こがねいろ)

」の俳句例 (3件)

蝗捕る袋の底の動きけり
細見綾子【現代語訳】捕まえて袋の中に入れておいた蝗たちが、袋の底でごそごそと蠢いている。 【鑑賞】捕らえられた蝗の生命力を、布や紙袋の底の微かな動きとして捉えた観察眼が光ります。視覚だけでなく感触まで伝わってくるような、素朴で実感あふれる一句です。
蝗捕る子に夕日影射しそめぬ
高浜虚子【現代語訳】夢中になって蝗を捕まえている子どもに、傾いた夕日の光が斜めに射し始めた。 【鑑賞】秋の日は暮れやすく、夢中で遊ぶ子どもに秋の夕日が長く美しい影を落としています。郷愁と温かみ、そして一日の終わりを迎える秋の静けさが漂う名句です。
蝗飛んで遠き山見る日和哉
小林一茶【現代語訳】蝗が足元からパッと飛び立ち、ふと顔を上げれば遠くの山々がくっきりと見える素晴らしい秋晴れの日であるよ。 【鑑賞】足元の小さな蝗の動きから、遠くの澄んだ山並みへと視線が大きく広がる構成が見事です。秋晴れの爽快な空気と、農村ののどかな一日を生き生きと描き出しています。

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