奉教諸死者祭

奉教諸死者祭

ほうきょうしょししゃさい

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意味・由来

「奉教諸死者祭(ほうきょうしょししゃさい)」は、カトリック教会で11月2日に行われる「死者の日(万霊節)」を指す、日本のキリシタン用語に由来する秋(晩秋)の季語です。洗礼を受け、信仰を守り抜いて世を去ったすべての死者の魂のために祈りを捧げる日であり、とりわけ日本では過酷な弾圧や受難の歴史をくぐり抜けてきた隠れキリシタンの殉教の記憶と深く結びついています。長崎や天草などの教会や墓地では、先祖や信仰の先人たちを偲び、静かに祈りのミサが捧げられます。晩秋の冷気とともに、死者を想う深い哀悼と信仰の厳粛さをたたえた季語です。

この季語で詠むコツ

字数が十音と非常に長いため、上五から中七にかけて堂々と据えるか、下五に置いて余韻を残すなど、構成上の工夫が求められます。単に典礼の名称を詠み込むだけでなく、この季語が宿している「歴史の重み」や「静謐な祈り」をどのようにすくい取るかがポイントです。秋の暮れゆく光、冷たい潮風、あるいは墓前で揺れる小さな蝋燭の炎など、視覚や触覚を刺激する具象的な情景と取り合わせることで、言葉の硬さを和らげ、胸に迫る詩情を立ち上がらせることができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 祈りや典礼に関する語:ともしび、蝋燭(ろうそく)、墓標、十字架、聖水、香煙
  • 風土・自然に関する語:天草、西海、潮風、石段、秋暮れ、晩秋の雨、星合
  • 情緒的な動作・状態の語:濡れそぼつ、揺曳(ようえい)す、祈る、静もる

奉教諸死者祭」の俳句例 (3件)

万霊節天草の海暮れゆけり
水原秋櫻子【現代語訳】万霊節(奉教諸死者祭)の今日、キリシタンの受難の歴史が息づく天草の海が静かに暮れてゆく。【鑑賞】万霊節は奉教諸死者祭の別称です。かつて激しい迫害に耐え信仰を守り抜いた信徒たちの眠る天草の海が、晩秋の薄暮の中に沈んでゆく景を詠んでいます。雄大でありながらどこか哀悼の気配を帯びた海に、無数の死者への祈りが溶け合っていくような余韻の深い名句です。
万霊節の聖水盤を濡らしけり
阿波野青畝【現代語訳】万霊節の日、教会を訪れた信徒たちの指が次々と聖水盤を濡らしていった。【鑑賞】敬虔なカトリック信徒でもあった阿波野青畝による句です。死者を偲ぶミサに集まる信徒たちが、教会堂に入る際に聖水を指に浸す動作を写生しています。過剰な感傷に流されることなく、冷ややかな晩秋の教会の厳粛な空気と、脈々と受け継がれる祈りの連なりを克明に捉えています。
奉教諸死者祭ともしびの列動きそむ
皆川盤水【現代語訳】奉教諸死者祭の夕暮れ、祈りのために手にした蝋燭の灯火の行列が静かに動き始めた。【鑑賞】「奉教諸死者祭」という格調高い季語を上五に据え、夜気配の迫る墓地や教会で灯された火の行列を描き出しています。死者の魂の安息を願う人々の静かな足音と、闇の中で揺れる温かな火の対比が、深い崇高さを醸し出しています。

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