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「人形(ひとかた)」とは、陰暦六月晦日に行われる「夏越の祓(なごしのはらえ)」で用いられる、紙を人の形に切り抜いたもののことです。「形代(かたしろ)」や「撫物(なでもの)」とも呼ばれます。この人形に名前や年齢を書き、自らの体を撫でて息を吹きかけることで、知らず知らずのうちに身に溜まった罪や穢れ、災いを人形に移し、神社でお祓いをして川や海に流します。玩具の「にんぎょう」とは異なり、半年の無事を感謝し、残りの半年の息災を祈る厳かな夏の神事に関わる季語です。
玩具の人形と混同されないよう、神事の厳粛さや所作を明確に詠み込むことが大切です。薄い白紙の手触り、痛みや患いを払うようにそっと体を撫でる指先、かすかに吹きかける吐息の感触など、触覚や動作を具体的に捉えると実感がこもります。また、夕暮れの川瀬に流されてゆく頼りなげな白い紙の姿を描くことで、人の命の儚さや切実な祈りの心情を表現することができます。
・動作や感覚を表す言葉(無季):息吹く、胸を撫づ、身代わり、指の跡、水に放つ、白き紙、清む ・情景や場所を表す言葉(無季):神前、川瀬、夕波、社頭、川の音 ・夏(同季節)の季語:夏越、茅の輪、水無月、夕立、川風