被昇天の祝日

被昇天の祝日

ひしょうてんのしゅくじつ

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意味・由来

「被昇天の祝日(ひしょうてんのしゅくじつ)」は、カトリック教会で8月15日に祝われる「聖母の被昇天(アスンシオン)」に由来する初秋の季語です。イエス・キリストの母である聖母マリアがその地上生涯の終わりに、肉体と霊魂ともに天に上げられたという信仰・教義を祝う大祝日です。日本では8月15日が終戦記念日(敗戦の日)にあたるため、平和への希求や歴史の記憶と重ね合わされることも多く、美しくもどこか厳粛で清澄な響きを持つ季語となっています。

この季語で詠むコツ

「聖母マリアが天に昇る」という宗教的なイメージから、抜けるような青空、純白の雲、澄んだ日差しといった天空への上昇感覚や、光と純潔性を意識して詠むと季語の美しさが際立ちます。教会堂や鐘の音などの直接的なクリスチャン的モチーフだけでなく、8月15日特有の真昼の静けさ、海や野の広がり、あるいは鎮魂の祈りなどと結びつけることで、奥行きのある句になります。

相性のいい言葉・取り合わせ

・視覚的な言葉:「青空」「白雲」「光」「海」「天主堂」「白百合」 ・聴覚的な言葉:「鐘」「鐘声」「讃美歌」「沈黙」「祈りの声」 ・心情・情景を表す言葉:「祈り」「静もり」「透明」「遥か」「彼方」

被昇天の祝日」の俳句例 (3件)

被昇天の日の昼深く兵死せり
三橋敏雄【現代語訳】聖母被昇天の祝日、その真昼の静けさの底で、一人の兵士が命を落とした。【鑑賞】8月15日は聖母被昇天の日であると同時に、日本の終戦記念日でもあります。マリアが栄光の天へと上げられる清らかな日の昼深く、泥にまみれて斃れた名もなき兵士。聖と俗、天と地、生と死の鋭烈な対比を通して、戦争の不条理と深い鎮魂を刻みつけた昭和俳句の名作です。
被昇天の空澄みわたる広場かな
有馬朗人【現代語訳】聖母被昇天の祝日を迎え、天を仰ぐと空はどこまでも澄みわたり、目の前の広場を明るく照らしている。【鑑賞】ヨーロッパなどの教会前広場を想起させる、光と空間の広がりに満ちた一句です。「被昇天」という天上へと向かう垂直のベクトルと、地上の「広場」の水平の広がりが見事に調和し、初秋の透明な大気と祝祭の穏やかな空気感が心地よく伝わってきます。
被昇天の雲の白さをとどめけり
福永耕二【現代語訳】聖母被昇天の日に仰ぐ空の雲は、純白の輝きをいつまでも保ち続けている。【鑑賞】聖母マリアの純潔を象徴するかのような雲の白さに着目した句です。晩夏から初秋へと移ろう季節のなか、湧き立つ雲の白さが一瞬の永遠のように留まっている情景を描き出しています。シンプルでありながら、季語が持つ宗教的な純粋性と美しさが鮮やかに立ち上がっています。

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