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季語辞典
三橋敏雄
俳
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三橋敏雄
みつはしとしお
作風・特徴
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代表句 (5件)
生身魂はや死に顔を具へたる
季語: 生き盆 (autumn)
『【現代語訳】生きて盆を迎えている老人だが、その顔つきにはすでに来たるべき死者の相貌が宿っている。【鑑賞】老境にある人間の生の儚さと、生と死が隣り合わせである盆の季節の本質を、鋭い観察眼で捉えた緊張感のある一句です。』
稲妻や顔のところがうすあかり
季語: 稲光 (autumn)
『【現代語訳】稲妻が夜空を走った瞬間、闇の中にいる人の顔の部分だけがほんのりと薄明るく浮かび上がった。【鑑賞】強烈な光そのものではなく、反射によっておぼろげに浮かび上がる人間の「顔」の存在感に着目したモダンで印象深い一句です。』
電気水母死して蒼天ひろごれり
季語: 電気くらげ (autumn)
『【現代語訳】電気くらげが砂浜に打ち上げられて死に、その上にはどこまでも青い秋の空が果てしなく広がっている。\n【鑑賞】浜辺で息絶えた小さな青いくらげと、無限に広がる蒼天(青空)との対比が圧倒的な空間の広がりを生み出しています。「死」という静寂と「青」の連続性が、秋の海の孤独感や自然の無常観を研ぎ澄まされた言葉で伝えてくれます。』
敗戦忌白絣著てゐたり
季語: 敗戦の日 (autumn)
『【現代語訳】敗戦の日を迎え、自分は涼しげな白絣の着物をまとって静かに過ごしている。【鑑賞】戦時下の緊迫と混乱をくぐり抜け、敗戦から歳月が流れた平和な日常の中で詠まれた句です。白絣という清潔で日本的な衣服を身にまといながら、心の内では消えることのないあの日の記憶を静かに噛みしめている対比が深い余韻を呼びます。』
被昇天の日の昼深く兵死せり
季語: 被昇天の祝日 (autumn)
『【現代語訳】聖母被昇天の祝日、その真昼の静けさの底で、一人の兵士が命を落とした。【鑑賞】8月15日は聖母被昇天の日であると同時に、日本の終戦記念日でもあります。マリアが栄光の天へと上げられる清らかな日の昼深く、泥にまみれて斃れた名もなき兵士。聖と俗、天と地、生と死の鋭烈な対比を通して、戦争の不条理と深い鎮魂を刻みつけた昭和俳句の名作です。』
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